侍の紅一点 (ページ45)

今日:2 hit、昨日:55 hit、合計:86,816 hit

過去編23話ページ45

府大会決勝の日

大阪桐蔭はアップを行いながら、試合の時を待つ

「やっぱすげぇな…黒宮A」

「あぁ。神凪もヤバいけど、黒宮は別格や」

「でも…何で素振りばかりしてるんや？」

疑問が浮かぶ履正社だが、メンバー表で確信に変わる

「黒宮…投げへんのか！？」

「私学７強よりも俺らの方が与しやすいと思ってんのか…！」

西谷監督は、自主練のしすぎで疲れの残るAを先発投手から外し、代わって3年の元エースを先発に据えた

「西谷さんの思惑は分からへんけど…とはいえ相手の先発も実力派の投手！甘く見たらアカン！焦らず、黒宮ちゃんが投げる前にリードを奪うで！」

「「「はい！」」」

こうして決勝戦が始まった

先発した元エースは初回と2回を無失点に抑える

対する寺島も初回を三者凡退に切って取る

そして2回…先頭打者はAだ

【さぁ始まりました。高校野球のスーパーヒロイン黒宮Aと近畿最強クラスの2年生エース寺島の戦い…春大会では黒宮が寺島から特大ホームランを放ち、一躍スターダムに駆け上がりました！果たしてこの対決の行方は！？】

寺島は変化球メインで2ストライクを取り、最後は渾身のストレートをインローに投げ込む

Aはこの球を流したようなフライを打ち上げた

「(よし！打ち取った！)」

レフトがフライを取ろうとする…が、ここでレフトが異変に気づく

「は？何で落ちてこねぇ…！？」

レフトが下がる内にフェンスまで到達し、ボールはスタンドを越えた

【入ったー！？打ち取った筈の当たりは高々と舞い上がりながらスタンドイーン！恐るべき黒宮Aの長打力！大阪桐蔭先制です！】

『今日の私は疲れはあるけど、打撃はすこぶる調子がいい。打ち上げるだけでもホームランを狙える』

「…！なんつー打力…！」

Aの凄いホームランに勢いに乗るかと思われた大阪桐蔭だが、寺島は後続の打者を抑える

「夏の甲子園は…絶対に譲らへん！」

履正社に勢いが付き始める

3回表、履正社は元エースを捉え、4番と5番の連続ヒットでチャンスを作る

そして1年生でありながら名門履正社のレギュラーを掴んた男…安田が2ベースを放ち、2点を取って逆転した

ここで大阪桐蔭は元エースを降板させ、徳山をマウンドに上げる

徳山は2イニングは無失点に抑えるが3イニング目に2点を入れられてしまう

寺島もAのホームラン以降は得点を許さない

高い仕上がりの寺島に、大阪桐蔭の士気が落ち始める

そんな桐蔭にAは…