侍の紅一点 (ページ43)

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過去編21話ページ43

優勝経験のある強豪校であったが、初回から大阪桐蔭は無死満塁の場面を作り、4番のAに打席が廻った

Aは初球を振り抜き、その打球は一瞬で場外に消えた

次の蓮もホームランを放ち、3年生も興国投手陣を打ち砕く…

試合が終われば、27-0と圧倒的な強さで興国高校を打ちのめした

夏大会初の試合となったAは、4打数4安打3本塁打の大暴れを見せ、投手としても5回を参考ながら完全試合としてみせた

完全勝利で勢いに乗った大阪桐蔭は、2回戦の明星高校、3回戦の阪南大高を5回を20得点と無失点で勝利し、昨年以上との前評判を文句なしで証明して見せた

準々決勝の関大北陽は、対策もあって粘りを見せるも、マスコミがAを"高校野球のスーパーヒロイン"と報道し、それ目当ての観客で球場が満員になる程であった

Aが打ったり抑えたりすれば、球場から大歓声が上がり、関大北陽は選手で負けているにも関わらず、観客から敵視されている様な雰囲気を感じ、回を追うごとに士気は萎んでいき、最終的なスコアは、10-0となった

「きゃー！Aちゃーん！」
「可愛いー！こっち向いてー！」
「美人で最強のAちゃーん！」

Aの姿に観客の大半は、まるで大人気アイドルのファンの様な歓声を挙げ、目をハートにする者もいる

「大フィーバーやなA」

『蓮さん。でも蓮さんのファンも結構いますよ』

「そうだな。お前には敵わんが」

2人の気分は上々であった

同時刻…別の球場では履正社が試合をしていた

相手は春の府大会準優勝の大阪偕星であったが、寺島が相手打線を圧倒し、野手陣も偕星投手陣を打ち砕く

「強えー、履正社！選抜ベスト8の実力は伊達じゃねぇな！」

観客が履正社の強さを褒める

「そういや…大阪桐蔭とは決勝で当たるんだよな？どっちが勝つんだ？」

「本命は大阪桐蔭だな」

「いや、履正社も侮れないぜ」

「秋は履正社、春は大阪桐蔭…一勝一敗で迎える最終決戦て所だな」

「くぅー！試合が待ちきれねぇ！」

「全国1位と全国2位の対決！楽しみだ！」

スコアは4回終了時点で13-0となっていた

「ナイスピッチ寺島！」

「あざす！」

岡田監督が、寺島を称える

「(春の疲れが残っていた寺島を春大会で連投させたのは、監督である俺の失態やった。だが寺島はその悔しさをバネに鍛錬を積み重ね、その強さは更に強固に！)」

岡田監督が不敵な笑みを見せる

「(春の借りは返させてもらうで…大阪桐蔭)」

対決の時が迫る