侍の紅一点 (ページ5)

今日:38 hit、昨日:55 hit、合計:86,852 hit

4話ページ5

試合当日…侍ジャパンは試合前の練習を行う

大谷の投げる強烈なボールとAが放つ鋭い打球に、観客からは驚嘆と歓声が巻き起こった

「あれが大谷翔平に黒宮A…すげぇボールに凄い打球…」

「あんなのウチのリーグじゃ見た事ねぇぜ…」

「日本の社会人に負けた時点で勘づいてはいたけど…初戦からコールド負けかぁ…」

「せめて7回までは戦えるかなぁ…」

2人の実力差に中国代表から諦めムードが見え始める

「はいはい。実力差に凹むのはそれくらいにしておきなさい」

「監督…」

中国のリロイ監督が選手達を窘める

「君達は思い出作りに来たんじゃないだろう。少しでも勝って、野球人気を上げるために来たんじゃないか」

「…そうですよね…！」

「行こう…今日、世界を驚かせよう！！」

リロイ監督は選手一人ひとりの胸を強く叩いて闘魂を注入する

「うおおおお！！」
「日本代表がなんぼのもんじゃい！！」
「相手も人間だ！俺らも！」

中国代表の士気が高まる

こうして試合が始まった

気合を入れて臨む中国代表だが、大谷の160超えの豪速球や代名詞である魔球"スイーパー"の前に太刀打ち出来ず、あっという間に2アウトを取られる

3番真砂を大谷は速球メインで軽く2ストライクを取った

「(クソッ！狙いが絞れない！こうなったら三振でもいいから、ストレート1本に絞って打つ！)」

だがボールは、真砂の方に向かって来る

「(危なっ！…んなっ！？)」

打者に当たるかと思われたボールは、横に変化してストライクゾーンに収まり、三振となった

「(これがア・リーグMVPの実力…！ギータさんやマッチさんはこんな化物と戦い続けてきたのか…！？)」

前のチームの先輩達を思い、真砂は戦慄した

『ナイスピッチ翔平さん！』

「まだまだ。大喜びするのは試合を決めてからだ」

1回の裏、1番のヌートバーが打席に立つ

『頑張れー！たっちゃん！』

Aがヌートバーに声援を贈る

「(Aちゃん…！絶対に打つ！)」

声援に力付けられたヌートバーはヒットを打ち、続く近藤と大谷もフォアボールで出塁する

【さぁノーアウト満塁の場面、打席に立つのは…女性初のMLBプレイヤーにして、日本の至宝…黒宮A！！】

凄まじい威圧感に、中国サイドは恐れが見える

Aは3球目の甘く入ったストレートを振り抜き、打球はライトスタンドに突き刺さり、凄まじい大歓声が巻き起こった