侍の紅一点 (ページ34)

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過去編12話ページ34

昨年からの課題だった先発投手がほぼ改善され、武器だった打線も更に厚みを増し、最強への道を突き進んでいる大阪桐蔭

「全員集合ー！」

6月の中旬頃、西谷監督は選手達を集める

「えー、上級生は分かっとると思うが、ウチは常に全国制覇のみを目指している。故にや…今年も遠征試合を行う！」

「！遂にこの時期が来たか！」

「今年の遠征先は東海地区4県2校ずつや。日にちは来週と再来週の土日から行うので、それまでに怪我せんようにな！」

Aは隣にいた蓮に話しかけた

『蓮先輩、遠征試合ってそんなにヤバいんですか？』

「勿論だ。調整や新戦力のお試しの場だった春大会とは違い、ここはウチも他校も主力や有望株が総動員される。ここで結果を残せれば、ベンチ入り…果てはレギュラー昇格が大幅に近づく。特に3年生はここが事実上最後のアピールの場だ。この遠征が終わったら、次の練習はベンチ入りメンバー中心になる」

『…！』

「更に、遠征中は全部の試合がダブルヘッダーで滅茶苦茶キツイ。でも、遠征試合のチームは甲子園以外で戦う貴重な機会だ。それを楽しみにしてる奴もいるぜ」

『そうなんですね。私も楽しみです！』

「余程の事が無い限り、俺とAは夏大会のスタメンは決定だ。寧ろアピールする相手は監督よりもスカウトだな」

『へぇー』

そう言いつつ、2人は強烈な当たりをかっ飛ばす

「ったく、後輩のクセにバカスカ打ちやがって、やになるわ」

「ああ。中学じゃチームの絶対的な中核だった俺達も、ここじゃあベンチ入りすら出来ねぇのによ」

「しかも、怪物みたいな奴らが…誰よりも努力しやがるから、タチが悪い」

「けど…･俺達だって後悔だけはしたくねぇ」

「ああ。例え試合に出られなくても、最後までコイツらと戦っていてぇよ」

「…って！今更辞められるかいな！」

「何のために、こんな苦しい練習3年もやってきたんだ！」

「そうだ！彼女どころかシャバとの繋がりすらまともにない監獄の様な場所で！」

「それは言うんじゃねぇよ！」

「オラオラどうした！？レギュラー共！」

「自分の地位は安泰だと勘違いしてねェか！？」

「気ィ抜けてんなら、その地位は俺らが奪っちまうぞ！」

3年生のベンチ外メンバーにスイッチが入る

『先輩達…何か急にスイッチ入って…』

「…下級生達が次々にレギュラー奪ってんだ。そりゃあ危機感も覚えるし、燃えてくるよな」

A達下級生も、負けじと鍛錬を積み重ねる

そして…遠征の日を迎えた