侍の紅一点 (ページ26)

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過去編4話ページ26

高校生になった当日…Aは先輩に絡まれていた

「ベンチ入りして、ちょっといい気になってへんか？」

「言っとくけど、お前の事なんざ誰も認めてねぇからよ」

「結果残せなかったら…この夏出番あると思わねぇ事だな」

普段は気弱なAが泣きそうになる

「みっともねぇ真似するな！」

「「「き、キャプテン！！」」」

大阪桐蔭のキャプテンが先輩を抑える

「俺達はプレーで語るしか無いんだ…」

先輩達を追い払うと、キャプテンは言った

「黒宮。ここの部員は誰よりも野球が上手くなりたい一心で親元を離れ、必死に頑張っている。監督の決定にケチ付ける気はないが、もし性別を理由にしたり、やる気のないプレーを繰り返したら即刻この部から叩き出すからな。厳しいがそれだけは覚えとけ」

キャプテンの厳しい注意にAは気を引き締めた

府大会準々決勝でAの高校野球公式戦初の試合

相手は大阪2強の片割れで選抜ベスト8の履正社

2年生エースの寺島が初回を三者凡退に抑え、2回も4、5番を抑え込む

しかし大阪桐蔭も6、7番が出塁し、2アウト1、2塁の場面で迎えるのは公式戦初打席のA

Aの刺すような威圧感に履正社バッテリーが少し怯む

「(なんだコイツ…！さっきまでの弱々しい雰囲気と違う…！？)」

それでも寺島は2ストライクを奪う

「(よし！後はストレートをインローに！)」

渾身のストレートがインローに向かった

「(決まりだ！1年の小娘！高校野球を舐めるな…)」

だがそのストレートは捉えられ、バックスクリーン直撃の3ランホームランとなった

少しの静寂の後、歓声が響いた

「す、すげぇ！！あの寺島のストレートをあそこまでかっ飛ばすなんて！」
「しかも1年生の女子高生だぞ！？」
「中学Ｎｏ．1どころか、高校でもトップじゃねェか！？」

「う、嘘だろ…！？そんなバカな…」

Aは何事も無かったかのようにホームインする

「ナイスやA！寺島の奴、派手に打たれて顔青ざめてるで！」

『マグレですよ監督。次はああ行くか分かりません…』

「マグレで履正社からあんなホームランは打てへんで」

その後、大阪桐蔭は履正社を滅多打ちにする

【あーっと！履正社寺島、ホームランのダメージか桐蔭打線を止めることが出来ません！選抜ベスト4の大阪桐蔭！同大会ベスト8の履正社を圧倒しています！】

4回が終了した時点で、スコアは14-1となっていた