侍の紅一点 (ページ22)

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21話ページ22

準決勝進出が決まり、しばらく日が空く侍ジャパン

Aは佐々木朗希、宮城、髙橋宏斗を連れて選抜の観戦に来ていた

チケットを持っていなかったが、Aが大阪桐蔭のOBだった為、大阪桐蔭の関係者達がアルプス席での観戦を誘ってくれたのだ

「いいんですかね…？俺達大阪桐蔭とは何の関係もないのに…」

『い、いいんじゃない？お言葉には甘えないと…』

試合が始まり、大阪桐蔭のエースが相手のチームを圧倒していく

『あの子…凄いですね。やっぱりエースってだけはある…』

「彼が前田君ですよ。あの子もA選手に憧れてここに入学したんです」

『へぇー…』

試合は大阪桐蔭が圧倒的な力で相手チームを叩きのめした

試合が終わり、アルプスから出て少しすると、やって来た大阪桐蔭の選手達にもみくちゃにされる

「うわー！Aさんや！」

「俺、アルプスにいたの見てたからな！」

「マジで！」

「佐々木朗希に宮城、高橋さんもいるで！」

そして前田がAに話しかける

「は、はじめましてAさん！主将の前田です！WBCでの活躍ずっと見てました！」

『あ、有難う。結構私も知られてるのね…』

「当然ですよ！Aさんは俺達の誇り！伝説のOBですからね！」

更に中年の男性がAの元へ来た

「久しぶりやなA」

『お、お久しぶりです！西谷監督！』

「MLBでの活躍も、ずっと応援してたで！」

『そんな…それは監督の指導があったからで…』

『俺が教えたんは、環境への適応だけや。それ以外はお前の実力やで…だけど、それだけにあの事件さえなければ…お前は投手としても大活躍して、あの大谷を劣化版にまで出来たのになぁ…事件を防げなかった事が、俺の指導者生活1番の悔いや…』

西谷監督の言葉に、事情を知る者達の気分が沈む

『監督…あれは野球が出来るだけまだマシでしたよ。本来なら…私は異国で命を落としてたかもしれないんですから…』

大阪桐蔭の1年が前田に質問する

「あの事件て…A選手に何があったんですか？」

「あの事件のせいで…野手としてだけではなくて、当時投手としても高校や甲子園でのありとあらゆる通算記録を塗り替えたAさんは、投手を断念せなくちゃいけなくなったんや…！」

「！？そんな…」

前田が悔しさを篭めるように言う

『それも、6年も前かぁ…あの時は何でも出来たなぁ』

Aは過去を振り返る

『私が桐蔭に入った時…その日は快晴だったね…』

Aが過去を語り出した