侍の紅一点 (ページ20)

今日:20 hit、昨日:55 hit、合計:86,834 hit

19話ページ20

準決勝に王手をかけた侍ジャパンは、この試合を東京での最終戦とするため、気合いを入れていた

「相手はキューバ…嘗てはアマチュア最強を欲しいままにしたカリブの"赤い稲妻"…」

「ここ数年は、経済の悪化に伴う亡命者の続出で不振が続いていたが、今年は亡命選手を加えて戦力を大幅に増強してある…中でもロドリゲス、マルティネス、モイネロのリリーフ陣は世界でも随一だ…！」

やって来たキューバ代表は、モイネロらNPB組は日本のチームメイトと会話を交わす

Aの元にはモンカダが話に来た

「やぁA。インターリーグ以来だね」

『モンカダさん。お久しぶりです』

「そういえば来シーズン終わったらFAだよね」

『そうですね』

「もし良かったら、ホワイトソックスに来ないかい？ウチのオーナーがAを大層気に入っているんだ」

『気持ちは嬉しいですけど、今は侍ジャパンの世界一とロッキーズを初のワールドチャンピオンにすることしか頭にないです。FAの行使はその後です』

「そうか。そうなる事を祈っているよ」

色々話しながらも、試合が始まった

先発のダルビッシュは、韓国戦の憤懣を晴らすかの様に序盤から飛ばし、キューバ打線を抑え込んでいく

だが、キューバの投手陣も特徴ある選手達を小刻みに継投し、日本に的を絞らせない

4回まででダルビッシュは降板し、5回から宮城が上がる

然し、宮城は2アウトは取るも次の打者であるモンカダ相手に制球を乱し、球が甘くなった所を完璧に捕らえられてしまう

【入ったー！宮城！ホワイトソックスの主力モンカダにソロ本塁打を打たれてしまいました！】

「俺は昔祖国を捨てた…でもキューバの人達は俺を受け入れてくれた！そのキューバの為にも、君達には負けない！」

『やってくれますね…！』

Aは他の内野手と共に、宮城の元に行く

「す、すみません！俺が制球を乱さなければ！」

『気にしない気にしない！大事なのはここからだよ！』

Aの言葉に宮城は立ち直り、次の打者を三振に斬って取る

これで勢いづくかと思われた侍ジャパンだが、キューバの継投の前に点を奪う事が出来ない

Aは徹底的に厳しい所を攻められ、ヒットや四球で出塁はするものの、打線が噛み合わずに得点に繋がらない

そうこうしている内に7回となり、キューバは勝ちパターンの1人である中日のセットアッパー…ロドリゲスを投入した

ロドリゲスは日本打線を三者凡退に抑えた