侍の紅一点 (ページ18)

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17話ページ18

侍ジャパンは2次ラウンド初戦の相手…イタリア代表と対峙する

不振のために打順降格となった村上は、ある動画を思い浮かべていた

鈴木誠也による村上に対する、"そろそろ打てや村上"というハッシュタグが添えられた、ジェスチャー動画によるメッセージだった

鈴木誠也は2021年の東京オリンピックでも不調に喘いでおり、同じく不調である村上に対してのエールとなったのである

『村上君…次からの相手は、速球派の投手が大幅に増える…だから村上君の力が必要なんだ』

「A…」

練習を終えた侍ジャパンの前に、イタリア代表が姿を現した

「昔はそこまでではなかったが、今年はMLBの選手や3Aの有望株を大きく集め、戦力を増大させている」

「中でも要注意は野手陣がフレッチャー兄弟、投手陣がパランテとフェスタのMLBコンビだ」

『フン。アメリカ前の肩慣らしには最適な相手でしょ』

戦闘モードに入ったAにチームメイトは頼もしく感じる

そして試合が始まった

先発の大谷は、圧倒的なピッチングで4回までを無失点に抑える

打線は1回裏にヌートバーの左前安打、近藤の四球で無死1、2塁のチャンスを作るも、大谷が"大谷シフト"に阻まれてしまう

そうした状況でAを迎え…

『！』

Aは強烈な打球を放ち、ライト方向のツーベースになるかと思われた

「！どりゃー！」

だが、この打球をライトのドミニク・フレッチャーが海老反りでのミラクルキャッチをしてみせる

『凄い捕り方…』

続く吉田も打ち取られて無失点に終わり、2回もチャンスは作るも点が取れない

試合が動いたのは3回

1死一塁から、大谷が"大谷シフト"の逆をついて三塁方向へバントを行う

これに動揺したイタリアの悪送球もあり、1死1,3塁のチャンスを作ると、Aは四球、吉田の犠牲フライで1点を先制した

さらに村上が四球で出塁すると、続く岡本がグランドスラムを放ち、5-0とした

これで勝負ありかと思われたが、5回表から大谷がコントロールを乱してしまい、2死ながら満塁のピンチを作ってしまう

迎えるはイタリアのキーマン、ドミニク・フレッチャー

大谷はドミニクにインコースのボールを打たれ、5-2とされる

「どうだ翔平！俺達フレッチャー兄弟は…イタリアは君達にも負けないぞ！！」

エンゼルスでの大谷のチームメイト、デビット・フレッチャーは大谷に啖呵を切って見せる

ここで大谷は降板する

『翔平さん。この悔しさは…次以降の相手で晴らしてください！』

「！ああ！」