侍の紅一点 (ページ16)

今日:53 hit、昨日:19 hit、合計:86,812 hit

15話ページ16

MLBの中軸プレーヤーを連続三振に仕留めたチェコ代表は、まるで勝利したかのような盛り上がりを見せる

「うおぉぉ！！すげぇぞサトリア！！」

「大谷選手に続いて黒宮選手も三振にとるなんて！！」

「これで…恋人や、もうすぐ産まれる子供に土産が出来る！」

「俺らだって、MLBのスター選手と戦えるんだ！！」

チェコの捕手がサトリアにAが褒めていた事を伝える

「黒宮選手…ありがとう…！」

チェコ代表の勢いは、一時観客を味方にしそうになるほどであった

だが、地力に優れた侍ジャパンは遅球に慣れた2巡目以降、その力を発揮する

打ちあぐねていたサトリアから、3回裏に3得点を挙げて攻略する

その後も順調に得点を重ねていき、代表を辞退した鈴木誠也に代わって選出された牧原や代打の山田哲人、牧が結果を残し、8回が終わった時点で11-2の大差をつけた

Aはサトリアからヒットは打てなかったものの、代わりの投手からタイムリーツーベースとヒットを放ち、投手陣も宇田川、宮城、松井、髙橋宏斗と繋ぐ

チェコ代表は地力の差を見せられても落ち込む事はなく、侍ジャパンに喰いついて時たま好プレーを見せ、デッドボールを受けても相手を気遣い、更には侍ジャパンのスーパープレーにも歓声をあげる

最終的には11-2で侍ジャパンが大勝し、一次ラウンド通過を決定づけたが、チェコ代表は侍ジャパンにコールドを許さなかった最初のチームとして、世界に名を知らしめる

特にサトリアはAをノーヒットに抑えた電気技師として、一躍時の人となったのであった

最後にサトリアはAにサインをねだる

「今日は楽しい試合でした！もし良かったら、このボールにサインを…」

『は、はい！』

Aはサインを書く

「有難うございます！私達はこの試合を一生忘れないでしょう！」

退出する侍ジャパンに対し、チェコ代表は大歓声と拍手で見送った

『本当にいい人達でした…チェコ代表との試合はどちらの相手も、爽やかな気分になるでしょう。由伸選手』

「フッ…そうだな！」

由伸はAに対して、そう答えた

その次の試合で韓国がチェコに勝利した事により、侍ジャパンの一次ラウンド突破が確定した

「一先ずはおめでとう…だが、我らの目的はあくまでも世界一…気を抜かないように」

栗山監督の言葉に、侍ジャパンの気が引き締まった