侍の紅一点 (ページ15)

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14話ページ15

東京ドームに着いた侍ジャパンがグラウンドに出ると、そこには既に練習を終えたチェコ代表がいた

チェコ代表の選手はAや大谷の顔を見るやキラキラとした目を向け、スマホを取り出す者もいる

練習でも大谷やAがスタンドに運ぶ度に歓声を上げ、スマホで写真を撮る選手もおり、その様は選手と言うよりも大人気アイドルのファンの様な状態であった

「おい見たか！？凄い打球だぞ！」

「ああ！俺なんかA選手と顔が合ったぜ！」

「マジ！？あんな美人と！？羨ましい！」

Aは、中国代表の何処か怖気付いた態度や韓国代表の焦りや妬みの様な視線とは正反対のチェコ代表の姿勢に少し困惑する

『ねぇ、朗希くん…何かチェコの人達、結構フレンドリーじゃない？』

「そうですね…チェコ代表のフレンドリーさとフェア精神は、メディアでも有名になってましたよ」

『そうなんだ…』

試合開始直前にも極めて友好的な態度で接し、侍ジャパンもいい気持ちになる

そしてチェコ代表は円陣を組む

「えー、知っての通り日本代表はサッカーで言うところのレアル・マドリーであり、我々はチェコ国内リーグの下位にいるチームだと考えてほしい。故に我々に必要な事は、野球の全てを楽しむことだ。自分達のプレーだけでなく、相手の好プレーも全力で賞賛しよう！我々が目指すのは、どちらが勝っても両者が素晴らしい試合だったと思える…そんな試合です！」

監督の檄にチェコ代表だけでなく、日本サイドも熱くなる

そして試合が始まった

当初は侍ジャパンのワンサイドゲームになるかと思われたが、チェコは1回表に先発の朗希から2塁打と中野のエラーで一点を先制する

打撃陣もチェコ先発のサトリアに大谷の三振も含めて、三者凡退に抑えられてしまう

だが、2回以降は朗希の160超えの豪速球を武器に、チェコ打線を抑え込む

2回裏、昨日サイクルヒットのAに打席が回った

サトリアはAに怯む事なく、最速127キロのストレートとチェンジアップを巧みに操り、3ボールながら2ストライクを奪う

『成程…球は遅いがストレートの精度は悪くないし、チェンジアップもコントロールされている。翔平さんが三振したのも頷ける』

「！(あの黒宮選手が褒めてくれたぞ！サトリア！)」

Aはチェンジアップを狙うも、サトリアのもう1つの球種…カーブで三振に倒れた

【三振ー！チェコ代表サトリア！大谷に続き黒宮も三振です！】

『…ナイスピッチ』

Aはサトリアを称えた