侍の紅一点 (ページ11)

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10話ページ11

Aを相手に、韓国バッテリーはこれまで以上に警戒を強める

「(とことんクサイ所に投げ込めよ…！このバッターがアウトになれば、最悪同点までなら何とかなる…！)」

キム・グァンヒョンの初球は際どいコースに行くも、Aは表情を変えずに見送ってボールとなる

「(チッ…！嫌な見逃し方しやがる…！)」

何とか2ストライクは稼ぐ事が出来、バッテリーは締めの１球を投げようとする

「(よし…何とか追い込んだ。後はお前の決め球をアウトローに投げ込め！)」

キム・グァンヒョンは自身の決め球である高速スライダーを、要求したアウトローいっぱいに投げ込んだ

「(よし！完璧だ！これで三振…)」

だがそのボールはキャッチャーのミットに収まる事はなく、Aのバットに振り抜かれた

「え…？(今警戒していた筈なのに…打球が…速すぎ！)」

Aの打球はキム・ハソンの守備を一瞬で突破し、外野に到達する

「え！？え！？」

あまりの打球の速さにイ・ジョンフも反応が出来ず、少し遅れて観客席から大歓声が起きた

【抜けたー！韓国の守備陣も反応出来ない強烈な当たりー！3塁ランナーのヌートバー即座にホームイン！2塁ランナー近藤と一塁ランナー大谷も楽々ホームイン！打った黒宮は悠々3塁に到達！逆転ー！侍ジャパン、4番の一打で見事逆転です！】

Aはランニングホームランを狙おうとするも、流石にそれは断念する

「う、嘘だろ…！？」

自身の完璧なコースの決め球を完膚無きまでに打たれたキム・グァンヒョンは、茫然自失となる

「(あ〜あ。決め球をあんだけ完璧に打たれたんだ…もうグァンヒョンは何も投げれないね。ご愁傷さま)」

ダルビッシュは侍ジャパンの勝利を確信した

村上の打席を迎えた所でキム・グァンヒョンは降板し、次の投手が村上を抑えるも吉田がタイムリーを放ち、3回裏終了時点で6-3となった

侍ジャパンが大喜びする一方、韓国代表は先程の浮かれぶりは何処へやら…完全に意気消沈していた

「おい！日本人野郎の、それも女如きに打たれやがって！それでも世界最優秀民族の…大韓の代表か！」
「もし負ければ…国に身の置き所は無いと思えよ！」

韓国代表ファンの中でも、とりわけ悪辣なファンが罵りの言葉をかける

これにより、下がっていた韓国代表の士気は益々沈んだ

この様をAは呆れたように見る

『プロ野球にファンは大事だけど…いくら私でもあんなファンはいらないね』

Aは韓国代表の選手に大いに同情した