吸血鬼に愛される？【Ⅱ】 (ページ9)

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少女の血53 ページ9

『？！』

目の前にはしょっぴさんがいる。じゃあ項を噛んだのは…？

海｢あぁ…ダメじゃないか…溶媒液のガラスぶち破ってきたの？｣

まあ…そのうち死ぬんだけどね…

項から何かが離れていく。恐る恐る後ろを振り向くとそこには、まるでミイラのようにやせ細った吸血鬼"だったもの"が倒れていた。

『！！！ヒッ…！！！』
必死に目をそらす。

海｢この子はね…俺に相談してきたんだ…こんな世界嫌だって。だから俺は言ったんだ。せめて最後に、俺の役に立ってくれないか？って。｣

気味の悪いそれを、海は撫で続ける。

海｢ほんとに…馬鹿だよ…訳の分からない溶液に自分から浸りに行くなんて…それが毒だなんて知りもせずに…｣

でもわかったことは沢山あったんだ。

海｢吸血鬼はヒ素を含んだエナメルを溶かした溶液につけると、そこからじわじわと血管を蝕んでいく。そして最後には全身が青白くなって死ぬんだ…フヒッ…そこからやく2ヶ月間放っておくと全身が真っ赤になって…ぶよんぶよんになるんだよ…フヒヒッ…｣

そうして海は吸血鬼だったそれの頭を思いっきり握りつぶした。不気味に笑う海。その場にいた殆どの人が息を飲んだだろう。

海｢…まあ…この話は置いといて…しょっぴくん。契約破棄して｣
Shp｢…………はい…｣

そう言うと、しょっぴさんは首元に歯を突き立てた。
『ぅぐ…』

体からどんどん力が抜けていく。重かった体が更に重くなっていく。

Shp｢…これで…｣

そう言ってしょっぴさんは傷口を愛おしように舐めた。

海｢…終わった？んじゃ、血採るよー｣

優しく、皮膚に注射針を刺す。普通に痛い。

海｢はい。OKね。このままだとあれだろうから別室に連れてくね｣

そう言って扉を出た。不意に見たしょっぴさんは、何故だかとても苦しそうにしていた。

コツコツコツコツ…

『ねぇ…なんか…毒でも撒いてたの…？』

海｢よくわかったね。うん。撒いてたよ。吸血鬼が脳から伝令を送るのが遅くなって、行動が鈍る薬。ついでに恐怖感も与えることができるから、俺に従ったんだろうね｣

だからあんなにしょっぴさんが従順だったのか…

海｢はい。ここ。逃げ出そうとしても無駄だろうから。抵抗はしない事だよ。ついでに他の5人も同じ部屋ね｣

『…はい』

…同じ部屋なのはきついけど…ひとりじゃない分まだ有難い気がした。