吸血鬼に愛される？【Ⅱ】 (ページ26)

今日:7 hit、昨日:13 hit、合計:41,746 hit

少女の血68 ページ26

『コネ…シマさん…』

彼は音を無くした海にそっと言った。

kn｢来世では幸せにな…｣
きっとコネシマさんは彼の境遇を知っているのだろう。もちろん私も。

kn｢歩けるか？｣
『…手錠と足枷を外してもらわないと…』
kn｢せやったな｣

そう言うと彼は白衣のポケットから小さな鍵を取りだし、枷をはずした。

やはり痣ができている。

kn｢ん｣
『え…』

バッと彼は手を広げる。
どういう事なのか考えているとコネシマさんは言う。

kn｢俺が抱っこしたる｣
『…重いですよ』
kn｢重ないわ。見た目も中身も｣

じゃあお言葉に甘えて…
そう言い、彼の元に行くとシャッと軽々と私を持ち上げた。

kn｢…外は見ない方がええよ｣
『…分かった』

そう言いつつ、目を伏せた振りをして外を見る。

初めて見るはずの町は、もう町ではなかった。
所々にある人の死体。逃げ惑い、叫び狂う人々

『…これが…戦争…』

これが総統様の望んだ光景なのかと疑問に思うが、戦争好きの彼にとってはこの光景ももはや
普通なのだろう。

kn｢…怖いか｣
『少し』

無意識に手がこわばり、彼のシャツを手汗で濃くしていた。

暫くすると見覚えのある馬車が約5台ほど。
kn｢ここで待っとき。すぐ戻ってくっから｣

そう言うと彼は馬車の荷台から銃を取り出し、直ぐに町の城へと走っていった。

『……これが…普通なのかな…』

1人、寂しく馬車で待ちぼうける。

ふと、背中に違和感を感じる。

何かが当たっている。

振り返るとそこには銃を突きつけたぺいんとさんが。

『ぺっ？』

pe｢そう。ぺ。｣
彼はニコッと笑うと私を抱き上げた。

『うぇ？？待っ…』
pe｢ごめん。少しだけ付き合って｣

俵担ぎにされ、酷く気持ち悪い。
お腹に圧迫感がある中で高速で走られるととても正常ではいられない。

『うえええぇ…』
pe｢ごめんね！すぐだから！｣

そういう彼は先程コネシマさんが消えていった方角に足を走らせている。

『え…私…人質…？？？』
pe｢我々国のみんなには手を出さないから安心してね｣

何を安心すればいいのかさっぱりなんですけど

まあ…ペイントさんのことだ。心配は要らないだろう。

妙な気持ちを胸に、私は揺さぶられ続けた。