吸血鬼に愛される？【Ⅱ】 (ページ21)

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少女の血64 ページ21

ギィィ…バタン

gr｢ここか…｣

グルさんはため息を着くようにして、Aを馬車から下ろした。

あの時、｢海｣と名乗る人物から通話があったあと、Aの記憶は一瞬にして消えていった。

つい先程まで俺たちの名前に感極まって泣いていたというのに。

涙はそのまま、『誰？』そういった。

あの後、何度もAに関わろうとした。でもそれをグルさんが止めた。
どうしてと問うと｢………もう…｣そう言っていつも最後は口をとざす。

海｢あー！来たー！どうもどうも！総統さま！｣

海は待ってましたと言わんばかりにAに駆け寄る。

Aは二人の間で困惑した表情を浮かべていた。

海｢でもほんとにいいの？｣
gr｢…連れていくなら連れていけ。歯切れが悪くなる｣

そう淡々とグルさん告げる。
なんでや。もうAの事なんてどうでも良くなったんか？

海｢じゃあ行こっか！｣
海はAの腰に手を添える。見てるだけでむしゃくしゃする。

gr｢…行くぞ｣
そういい、足早に馬車へと向かう。
ふと振り返ると、Aと目が合った。

『…ーー…ー…』

彼女は口頭で…読唇術で何かを訴えていた。
不意に、脳内に音声とともに再生される。彼女からのメッセージ。

tn｢グルさん…｣
gr｢……｣

グルさんは俯いて話さない。本当は苦しかったのだろうか。

馬車が動いて10分近くした頃、グルさんは突然口を開いた。

gr｢…1週間後、Aを攫いに行く｣

…は？

tn｢え…？A…？あんなに…諦めきってたんに…？｣

gr｢何言ってるんだ？俺があの場でどれほど
Aを抱きしめたかったか…｣

虚しそうな彼の表情に、話の焦点があってくる。
tn｢…もしかしてもういい…とかって全部あいつに聞かれ無いためか？｣

そう問うと、正解のポーズを見せた。

gr｢海とやらのことはもう既に調べてある。決行は1週間後。良いだろう？｣

tn｢…ハイル…グルッぺン…！！｣

そう言うと、グルさんは嬉しそうな顔をした。

tn｢なぁ…グルさん…あんた、最後にAの顔見たか？｣
gr｢いや？見てないが｣
tn｢あいつ…最後に俺に言うたんよ｣

『待ってる…！』