吸血鬼に愛される？【Ⅱ】 (ページ18)

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少女の血61 ページ18

ねぇ！ほんとに…！何も思い出せないの…！

｢……｣

なんか…言ってよ…もう…何もわかんない…

｢…貴方の…大切な…人…は…？｣

私…？私の大切な人…？

｢今…分からなくても…きっといつか分かる…
例え今思い出しても…皆の元で…いつか…｣

？？｢………A……｣

…ひとらん…さん…？？

パチッ

『…寝てた…？』

起き上がるとそこは…多分…自室だ。
何も思い出せない。でも、大切な何かはまだ頭に混在している。

ふと左手が握られている。暖かい。

そこには白い海軍の服を着た男性がいた。
机に付属の椅子にはトルコ帽を被った男性が腕を組んで寝ている。

『…誰…？だっけ…』

不意に頭痛がし始める。
『いた…』

その声で起きたのだろう。海軍服の男性が目を覚ます。そのひとつの仕草がどうしても懐かしい。

｢…………！！マンちゃん！A起きた！｣

そう言うとトルコ帽の男性が目を覚ます。
｢ん…んん…？…！Aちゃん！大丈夫？！｣

2人して傍により、情けない顔でこちらの様子を伺う。

『すみません…助けていただいてありがとうございます…ご迷惑をおかけしました…えっと…マンちゃんさん…？と…』

言葉が詰まる。はじめてのはずなのに初めてじゃない気がして。

｢…そんな事ないよ…｣
｢っ……どう…いたしまして…｣

海軍服の男性は歯がゆそうに眉を下げた。

｢ねぇ…本当に…何も覚えてない…？｣

『…なんか…夢を見たんです』
｢！！｣

トルコ帽の人が分かりやすく反応した。…前にもこんなことがあった気がする…

『…小さな少女に…いつかきっと思い出せるって…でも何がわかんなくて何がわかるのか…すらわかんなくて…』

｢…この城の中、散策してみよう？そしたら何か分かるかもしれないからさ｣
｢なるほどめぅ！｣

その言葉が、どうしても懐かしくて、笑みがこぼれる。

『にひ…！』

その光景を2人はとても微笑ましい様子で見ていた。