吸血鬼に愛される？【Ⅱ】 (ページ11)

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少女の血55 ページ11

『ちょっ…！ぺいんとさん…！！』
pe｢ふー…ふー…｣
『しょっ…しょっぴくん…！どうしよう…！』

興奮状態に陥ったようで、彼は息切れを絶やさない。
他の2人はなんとか意識を保てているようだ。

『ぺいんと…さん…！』
ぐぐぐ…となんとか動く片腕で彼の腕を掴む。
ただそれも虚しく、押し返されるだけだった。

ガリッ

『ぅﾞあﾞ！！！』
ミシン針が肩全体に埋まったかのような強烈な痛みに襲われた。
するとどこからともなくアナウンスが聞こえる

海｢おー！結構凄いね！｣
『は…？海…？？』

アナウンスの正体は海だった。

海｢さっきの煙幕に血の供給量が5分の1まで下がる薬を混ぜたんだ。油断したでしょ？もう実験は始まってるんだよ｣

半笑いで彼は言う。すると頬に温かい何かが落ちた。
『ぺいんとさ…』
pe｢うﾞうﾞ……あﾞ…｣

泣いている。
必死に理性を取り戻そうとしているようだった。けれど薬のせいで体が言うことを聞かない。そう言っているようだった。

そう分かった時、ある考えが浮かぶ。

『ぺいんとさん…契約…して…！』
pe｢！！｣

契約することで多少は和らぐ。契約してしまえば、他者への血の匂いが分からなくなる。

pe｢んﾞ…｣
『あﾞ……！』

体全体に血がいきわたる。細部まで痒く感じる。

pe｢は………あり…がと…？｣
『これで…多分大丈夫です…』

他のふたりは匂いがしなくなったからか、先程よりも幾分かマシに見える。

『しょっぴくん…？』
ふと先程までしょっぴくんがいた場所に目を向ける。

『しょっぴくん！』
頭の中が混乱する。彼は…液晶化していた。指先だけ。
『だ…なにこれ…？！大丈夫…？？』
Shp｢なんか…あれ…？体が…｣

『！…』
副作用……もしかして…血の契約…？！

『しょっぴくん！もしかして私の中にまだ血残ってた…？』
Shp｢あ…少しだけ…｣

どうしよう。どうすればいい。このまま放っておけば、いずれはしょっぴくんが完全に液晶化してしまう。かと言ってぺいんとさんに血を抜いて貰おうとしても、結局はしょっぴくんの血を飲むことになる。

『一か八か…』

そう言って、私はナイフを手首にあて、思いっきりスライドさせた。