【文スト】特一級危険異能力者の日常

I don't know, ページ14

なにこれ？

お菓子がなくなった。灰になって風に拐われて消えてしまった。跡形もなく。

？「なッ！？なんてことしてるのよ！！」

大人の怖い顔を近づけられる。知ってる、怒っている時の顔だ。

「ご、ごめんなさい。」

お菓子がなくなったからだろうか？怒っている理由がわからない。


どうして？どうして怒ってるの？


その時、全体が大きく揺れた。
大人は皆動揺している。

？「地震！！」

大きく、大きく揺れている。

それから間もなく、家が崩れた。
地震とはこの揺れている現象のことか。妙に冷静にそんな事を考えていると大人の女の人が崩れた家の下敷きになっていた。

？「助けて！」

他の大人は下敷きになった女の人を見て笑っている。

なんで？助けを求めてるのに、見捨てるの？

可笑しい。

助けようと思った。手を伸ばす。

？「やめて！死にたくない！！」

手に触らないように振り払われた。

尚もめげずに手をそのままにしていると先ほどのような形相でこう言った。

？「触らないで！！」

怯えと怒りが混じっている表情。

「ッ！」

足が痛かった。地震で家が崩れた時に怪我をしたらしい。血がとめどなくあふれでてくる。

痛い。そこである結論に至った。

この血が怖いのでは？
血が怖いからそんな表情をしているのでは？

だから、助ける意思を伝えるために笑った。
怖くないことを伝えるため。

「大丈夫だよ。助けてあげる。」

嫌がる女の人に更に手を伸ばす。


その手が頬に触れた。


先ほどのお菓子と同じように一瞬で跡形もなく灰になっていった。


怖さからも、痛みからも救えたのではないか。助けてあげることが出来たのではないか。



だけど、大人から残ったのは奇異な目だけだった。どうして？わからない？知らないよ？








遠くで声が聞こえた。

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