一目惚れです【勘右衛門】

やっちまったII ページ5

俺が告白したお相手は、藤林Aさんと言うらしい。今まで見たことない割に意外とあっさり名前が分かった。
「知ってるも何も、あの人ここの卒業生だぞ」
なんで八左ヱ門はそんなに詳しいんだ。

「あー、だから私何となく覚えてたんだ。

…ごちそうさまでした」

三郎が食べ終わった。俺はまだちまちま食べ続けている。
名前が分かったのは嬉しいけど、やっぱりギャラリーがいたのがキツかった。
聞いた感じ、乱きりしんもいたっぽい。こいつらが聞いてただけで既にもうしんどいんだが潮江先輩にまで聞かれてたんじゃもうどっからどう見てもアウトだ。
潮江先輩だぞ？ギンギンに忍者してる人だぞ？ていうか潮江先輩に限らず6年生に何言われるか分かったもんじゃない。説教垂れられそう。

「俺覚えてないんだけど、Aさんのこと」

「いきなり名前呼びするんだ…」
兵助が苦笑いしている。兵助は真面目だから。豆腐以外にも面白いこといっぱいあるぞって言ってやりたいけど多分話聞いてくれないか「そんなことないよ〜？、豆腐は美味しいよ。あ、俺の作った豆腐、食べる？！」とか言われる。
それはちょっと…。

「まあ、くのたまだったし。俺たちが3年になる時に卒業したしな。仕方ないのかも」
八左ヱ門は俺より詳しい(さっきも言った)。ちょっと悲しい。
ただ、八左ヱ門は三郎と違って多分悪気がないから言えない。


「藤林先輩、動物が苦手で、慣れるためによく生物委員会に来てたから。知ってたんだ」


Aさん。動物が苦手なんだ。俺が守ってあげようかな(変態)

「とか考えてるだろ勘右衛門」

「な、ん、で！分かるんだよ三郎！！」


「ちょっと2人ともやめなよ！おばちゃんが困っちゃうでしょ」

雷蔵がクラスに何人かいる「ちょっと男子〜！」ばりのテンションで言った。




さて、俺もAランチを食べ終わったので、とりあえず5年生皆で長屋に戻って俺と兵助部屋で色々考えることにした。

今後の俺の人生を左右する大事な事だ。
このままではAさんに変人だと思われてしまう上、潮江先輩はじめギャラリーお墨付きの公開告白野郎になってしまう。
俺が終わってしまう。

だからこれは真面目に考えないといけないのだが、

既に部屋の中に誰かがいた。




「お、遅かったな」

「待っていたぞ！」


終わった。

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