早くお家帰りたい…のに ページ17
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学生時代、私はくノ一教室の学級委員長だった。なので、忍たまの上級生の学級委員長と関わる機会も少なからずあった。
尾浜も当時から学級委員長だったらしい(最近知った)が、低学年と会うことは少ない上、忍者のくせに顔と名前を覚えるのが苦手だったので覚えてなかった。
6年生の時、2年生の鉢屋と出会った。
そして彼に鏢刀を教えた。
当時の私はまだ、得意武器を考えている最中で、鏢刀も視野に入れていた(剣術を心得ていたので得意武器を刀にするということはこの時点で考えていたけど、刀じゃ自由に動けないので、別の得意武器を作ろうとしていた)。
なので、教えることができた。
最初は、2年生の時から得意武器を考えるとはなんと意識の高い子だろうと感心したりもしたけれど、そうやって踏み込めば踏み込むほど彼が苦手になった。
どこか見透かされたようなその眼が苦手だった。
いつも少し馬鹿にされている気分だった
けれど今の鉢屋の様子じゃ、それどころか手のひらの上で遊ばれそうだ。
「どうしたの鉢屋くん、もうここは夏休みのはずでしょ」
そう、隙を見せると手のひらで遊ばれる。思わず、作り笑いが出た。
彼は1歩私に近づいた。現実世界ではソーシャルディスタンスを守ることが普通になっているが、彼とだけはこの、言わば架空の世界であってもソーシャルディスタンスを保ちたい。
「ちょっとお願いがあって。本当はものすごく不本意ですけど」
鉢屋は舌をべぇっと出して、あからさまに「嫌だ」と訴えていた。負の感情を隠さないところが彼らしい。
ていうかお願いってなんだ。
まさかこれは話が長くなるやつじゃ…
2週間の夏休みが…短くなるかもしれない。
「不本意なら、無理に聞かなくてもいいと思うけど?」
とにかく早くお家に帰りたい。夏休みを満喫したい。
気持ちだけが早り、少し考えが見え見えの答えになった。
相当暑さにやられているのが自分でも何となく分かる。
「不本意ですけど。まあ私は友達思いでしてね。友達の恋路を応援したいなと思って。単刀直入に聞きますけど、あんた勘右衛門のことちゃんと見ようとしてるんですか」
鉢屋くんの目が、鋭く光っていた。
ここはな
尾浜くん…。
最近は、鬱陶しいのは変わらないんだけど、なんというか、うん。
「よく…分からなくて」
「は?」
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ねう。(プロフ) - 一気読みしちゃいました!とっても面白いです😢😢 (11月28日 17時) (レス) @page26 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - ぐらさん» こちらこそありがとうございます! (2021年1月31日 14時) (レス) id: 432cdd0ce8 (このIDを非表示/違反報告)
ぐら(プロフ) - 来夢さん» ありがとうございます。 見てみますね! (2021年1月31日 9時) (レス) id: 3a7d057f41 (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - ぐらさん» あとぐらさんがもし気に入って下さったらリクエスト受け付けておりますので、リクエストして下さいね! (2021年1月30日 19時) (レス) id: 40cb41754a (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - ぐらさんの小説めっちゃ面白いです!これからも更新頑張って下さい( ̄^ ̄)ゞ応援してます!ところで、私道明寺来夢で"仮面被り"という小説を出させて頂いてます!良ければ一度拝見して下さるととても幸いです! (2021年1月30日 19時) (レス) id: 40cb41754a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐら | 作成日時:2021年1月8日 2時