朝早く ページ11
「…あれ?もしかして食堂まだ開いてない…?」
「えー!やっぱり早すぎたんだよ勘右衛門…」
ガックシ…と2人揃って肩を落とす。しばしの沈黙の後、
「おばちゃん手伝うか〜」
「…そうだね」
となった。朝ごはんの味噌汁は豆腐たっぷりになるだろう。
俺たちはまだガラッとした食堂に足を入れた。食器の耳に響く音と、おばちゃんの作る朝ごはんのいい匂いがした。
いるのはおばちゃんに思えたが、厨房にもう一人いた。
「おばちゃんごめんなさい。朝忙しいのにおにぎり作ってもらっちゃって」
「いいのよぉ。もうほとんどできちゃってるし」
あれは!あれは…
「Aさん!?おはようございます!」
幸運にも朝からその人に会えた。この幸運を保健委員会に分けてやりたいと、最低なことも思った。
けれど、Aさんの反応は薄い。
あからさまに怪訝な顔をして、
「どちら様?」
と返ってきた。
覚えられてないことにショックを感じつつ。
「昨日、あなたに告白をさせて頂きました!尾浜勘右衛門です!」
自然の道理か、目が泳いだ。ちらと隣を見ると、何も関係ないからか他人事のように直立したまま眠る兵助がいた。
眠る、と言うより、うとうとする⇒首がガクッとなり起きる⇒うとうとするの繰り返し。よくまあこの状況下眠れるもんだ。
「…ああ、昨日の野郎ね」
俺の姿をじっと見てから、合点がいったかのように仰った。
野郎って…
ちなみに、野郎とは「男性を蔑んだ言い方」である。
Aさんはすぐにおばちゃんの手元に目を戻す。俺に興味がないのだろう。さっきからニコリともしない。無表情。
関わり合いたくないという心のあらわれからか、Aさんの目はおばちゃんから離れない。こっちを見ようとしない。
まあ俺はそのくらいでは諦めない。
「…あなたともっとお話したいです!」
俺の顔は赤くなっているかもしれない。
「私に利点はない。それに面識もない」
「もう、俺の名前も紹介しました!顔見知りです」
はぁ
大きなため息の音が聞こえた。
「…勝手に言ってな」
俺がしつこいことに腹を立てているのか、顔が引きつっていた。
美人が睨むときの迫力はとんでもない。
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ねう。(プロフ) - 一気読みしちゃいました!とっても面白いです😢😢 (11月28日 17時) (レス) @page26 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - ぐらさん» こちらこそありがとうございます! (2021年1月31日 14時) (レス) id: 432cdd0ce8 (このIDを非表示/違反報告)
ぐら(プロフ) - 来夢さん» ありがとうございます。 見てみますね! (2021年1月31日 9時) (レス) id: 3a7d057f41 (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - ぐらさん» あとぐらさんがもし気に入って下さったらリクエスト受け付けておりますので、リクエストして下さいね! (2021年1月30日 19時) (レス) id: 40cb41754a (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - ぐらさんの小説めっちゃ面白いです!これからも更新頑張って下さい( ̄^ ̄)ゞ応援してます!ところで、私道明寺来夢で"仮面被り"という小説を出させて頂いてます!良ければ一度拝見して下さるととても幸いです! (2021年1月30日 19時) (レス) id: 40cb41754a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐら | 作成日時:2021年1月8日 2時