疑心、暗鬼を生ず[実況者] (ページ15)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:31,097 hit

15,怯えページ15

ヒ「いだだだだだだ…ちょっとしたおふざけでぼくの高い鼻がおれたらどうしてくれんのさ…｣

『別に高くないでしょう。だいたいなんで風呂なんて覗こうと思ったんですか』

ヒ「君があまりにも疲れてたからほぐしてあげようとおもったの！もー！｣

今は神父の治療中、神父は少し大きい椅子で足を不満そうにぶらぶらとさせている。

ヒ「鬼だよ鬼！シスターの鬼ぃ！！｣

んべっと神父は私に舌をだした。

『子供ですか貴方は…はい、終わりましたよ』

鼻に絆創膏を貼り、私は救急箱にいろいろなものをしまい直す。

ヒ「ねぇ、シスターはさぁ鬼って信じる？｣

まだ少し不満そうなくちぶりで神父は私に問う
きっと今神父は、親に怒られた後の子供のように、口をとがらせているだろう。

『そうですね…信じていた時もありましたかね｣

ヒ「ん？じゃあ今は信じてないっていっていいのかな？｣

『はい、まぁ。』

子供のころに信じていたというのも怪しいが、私のことだ、信じていた言うことにしよう。

ヒ「こわいものはある？あったとしたらそれはなに？｣

『なんかの心理テストですか…？』

神父がこんなに私に質問してくるなんて怪しい少し私はいぶかしむ

ヒ「まぁまぁ、いいからさちょっとした遊びにだと思って気軽に答えてよ｣

すっかりいつもの調子に戻ったらしい神父は、鈴がなるように話す
いや、いつもの調子だがいつもではない感じだ
私は言葉に注意しながら答える

『―…今私が怖いのは人狼ですよ。まぁもういなくなりましたがね。』

ヒ「ほんとにそう思ってる？｣

寸要らずに神父はそういった
私に、少しの余裕も許さぬように__私に、少しの猶予も残さぬように

ヒ「ほんとに、そう思ってるの？シスター、｣

鈴のなる、声がする

ヒ「君は、愚かだね

「愚かで、愚かで、仕方がない

｢人間臭い、人間

｢あのね？一番こわいのは人狼じゃないでしょ

｢心に鬼を飼い、真実をなんの理由もなく隠す

｢人間が一番怖いのさ。

｢だからぼくは

人間臭い、愚かな君が、一番怖い。｣

私はふりむき、神父の顔を見る
神父は、これまでにないくらい哀しい顔をしていた

ヒ「怖いよ…シスター｣

怖さに震え、辛さに押し潰される貴方を、抱き締める方法を愚かな私は知らなかった。