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嫌い【時透無一郎】 ページ37











「…私、これ以上時透くんがこういうことを
続けるなら……キミのこと嫌いになるから」



「……え?」









事の発端は時透くんだ。
彼はいつもいつも、私に極悪非道な悪戯を
仕掛けてくる。


今日は、私の食事に大量のカラシを入れていた。
しばらく廊下で悶絶していたところを、
カナヲちゃんが助けてくれた。


呼吸困難まで起こしていたらしい。
……さすがに、今回ばかりは許せない。


暴力こそしてこなくなったが、私の心は
すり減るばかり。もう限界だ。


何をしても、どうせ殴られたりするのなら
すぐに逃げた方がいい。
そもそも、私にだって感情はある。









「じゃあね」









私がそう、少し低めの声で言うと、時透くんは
途端に、焦ったような顔になった。









「っ待って!」



「……なに」








腕を掴まれるが、私は不機嫌な感情を、
隠そうとはしなかった。


それでも時透くんは腕を離さず 言葉を紡いだ。









「……全部、全部直すから。
悪いとこ、全部直すから、おねがい。
……嫌いに、ならないで……」









懇願にも似た彼の頼みに、私は足を止めた。
チョロッと思われてしまうかもしれないが、
あんな不良少年の時透くんがここまで言っているんだ。


そりゃあこの私も、心を打たれてしまう。
今まで心の中で、キミのこと清楚系ビッチとか
呼んでてごめん。









「……時透くん……」


「A……。
ごめんなさい、許して」






ひしっ、と抱きついてくる時透くん。
なんかもう胸を打たれたので許します、ハイ。









「……もういいよ、時透くん」


「……本当?」






私がそう言うと、彼は少し潤んだような瞳で
こちらを見つめてきた。
可愛いなクソ。









「私も怒りすぎたからね」


「嫌いじゃ、ない?」









何だか喧嘩の後の親に対する子供みたいで、
可愛く思えてしまった。


だから私はそんな彼に「よしよしよーし」なんて、頭を撫でた。


そうしたら、彼は彼の頭を撫でている私の手を
そっと、自分の頬に添えて、愛おしそうにこう
言った。









「僕ね、Aに嫌われたら生きてけない」



「……ん?」



「だからね、これからも……よろしくね?」









彼は私の方を見ながら、そのまま頬を赤らめて
「えへへ」と天使のようにはにかんだ。




……コレは、勝ったと言えるのかしら。




まあ……、可愛いからいっか。









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ぽいんせちあ(プロフ) - 何回でも読める! (2022年3月25日 14時) (レス) id: 341a75d524 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいんせちあ - やば…好きです (2022年3月25日 14時) (レス) id: 341a75d524 (このIDを非表示/違反報告)
通行人B - 今でもこの小説読んでるけど、これ読むと何時もなんて言うかな……何か、キュンってきます!! (2022年2月1日 23時) (レス) @page3 id: 9e6a0c7491 (このIDを非表示/違反報告)
ミル産業 - 最後の時透君はヤバい。何か...ずっきゅーん!!!...だよね??((圧 (2020年4月27日 22時) (レス) id: 66812cc6be (このIDを非表示/違反報告)
奈雪 - あ、此の作品がないと生きていけなくなりました。(訳:めちゃくちゃ大好きです) (2020年3月14日 0時) (レス) id: c1bb07e9f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゴリラ系美女 | 作成日時:2019年10月22日 21時

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