検索窓
今日:19 hit、昨日:4 hit、合計:111,452 hit

第58話 ページ9

べ「どうして…笑えるのよ…?」

見たこともないほど綺麗で憎たらしくなるほどだ。どうしようもなく、ガリアーノが諦めているようにしか見えない。

そして、それをどうにもできない自分が悔しい。

「初めからわかってたこと。」

そうだ。

わかってたことだ。有能すぎる人材は、時に嫌われる。反撃されるのをトップが恐れるからだ。

べ「あなたは…組織を抜けようと思わないの…?」

「思わない。」

即答された。命を狙われようとも、あの方と慕う人に疑われようとも逆らうつもりはないらしい。そこに何があるのかわからないが、それこそがガリアーノの信念。信じて疑わないものなのではないかと、思った。

べ「できるだけのことは、するわ…。」

うるうると瞳を潤ませているベルモットを見ながら、内心は煮えくり返っていた。静かに。

人を散々こき使っておいて。

ベルモットを泣かせるなんて。

そういうことだけ、遠回しに他人から伝えるなんて。

ベルモットが、可哀想ではないか。

と、死を突きつけられたと云うことをすっかり忘れているのではないかというような思考回路を巡らせていた。

死を畏れていないかのような。

「さて…理由は後で聞く…。」

何がしたい?と訊ねれば、きょとんとされた。今日は、ベルモットの珍しい表情をたくさん拝めている気がする。

べ「なんの理由?」

「あの方に直接聞くわ…。」

嫌った理由を、と続ける。

「あんたが泣いてるの…面倒だから…。」

ベルモットは少しムッとしたらしい。

べ「何よ…。わかったわ…、振り回してやるわよ…。」

にやにやとするベルモットをみて、これはこれでやっぱり面倒だとさっきの言葉を撤回したくなったが、楽しそうなのでやめておく。

「はいはい…。」

苦笑いを浮かべ、ベルモットの後についていったのだった。

第59話→←第57話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (198 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
254人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かなと(プロフ) - 気になる終わり方でしたが、ありがとうございました(泣) (2016年6月4日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
ラスティ - 更新待ってます (2016年6月2日 22時) (レス) id: 35a99e4b3a (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 更新頑張ってください!!応援してますから!! (2016年5月28日 20時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 死にたいとか云わないでー!! (2016年5月22日 14時) (レス) id: 181887ceab (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - ラスティさん» ラスティってお酒の名前ですよね!! (2016年5月21日 22時) (レス) id: 181887ceab (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:黒闇 | 作成日時:2016年4月9日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。