第58話 ページ9
べ「どうして…笑えるのよ…?」
見たこともないほど綺麗で憎たらしくなるほどだ。どうしようもなく、ガリアーノが諦めているようにしか見えない。
そして、それをどうにもできない自分が悔しい。
「初めからわかってたこと。」
そうだ。
わかってたことだ。有能すぎる人材は、時に嫌われる。反撃されるのをトップが恐れるからだ。
べ「あなたは…組織を抜けようと思わないの…?」
「思わない。」
即答された。命を狙われようとも、あの方と慕う人に疑われようとも逆らうつもりはないらしい。そこに何があるのかわからないが、それこそがガリアーノの信念。信じて疑わないものなのではないかと、思った。
べ「できるだけのことは、するわ…。」
うるうると瞳を潤ませているベルモットを見ながら、内心は煮えくり返っていた。静かに。
人を散々こき使っておいて。
ベルモットを泣かせるなんて。
そういうことだけ、遠回しに他人から伝えるなんて。
ベルモットが、可哀想ではないか。
と、死を突きつけられたと云うことをすっかり忘れているのではないかというような思考回路を巡らせていた。
死を畏れていないかのような。
「さて…理由は後で聞く…。」
何がしたい?と訊ねれば、きょとんとされた。今日は、ベルモットの珍しい表情をたくさん拝めている気がする。
べ「なんの理由?」
「あの方に直接聞くわ…。」
嫌った理由を、と続ける。
「あんたが泣いてるの…面倒だから…。」
ベルモットは少しムッとしたらしい。
べ「何よ…。わかったわ…、振り回してやるわよ…。」
にやにやとするベルモットをみて、これはこれでやっぱり面倒だとさっきの言葉を撤回したくなったが、楽しそうなのでやめておく。
「はいはい…。」
苦笑いを浮かべ、ベルモットの後についていったのだった。
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かなと(プロフ) - 気になる終わり方でしたが、ありがとうございました(泣) (2016年6月4日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
ラスティ - 更新待ってます (2016年6月2日 22時) (レス) id: 35a99e4b3a (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 更新頑張ってください!!応援してますから!! (2016年5月28日 20時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 死にたいとか云わないでー!! (2016年5月22日 14時) (レス) id: 181887ceab (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - ラスティさん» ラスティってお酒の名前ですよね!! (2016年5月21日 22時) (レス) id: 181887ceab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒闇 | 作成日時:2016年4月9日 23時