静寂 second【名探偵コナン】 (ページ32)

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第８１話ページ32

また、夢を見たのだとわかった。

あの晩と同じように心配そうな顔で起こす人が、いたから。

面倒。

その一言につきる。

あの夢のせいで、彼との時間を割いてしまうのは、とてつもなく嫌だから。もう忘れてしまいたいのに、できない。

秀「そろそろ起きろ…。夜になる…。」

もっともそれ以上にこのところの発作の間隔が短くなってきていることの方が重要かも知れなかった。

本当にこんなゆったりとした時間を過ごしたのは、いつぶりだろうか。彼の言葉に従いつつもどこか他人事のように考えていた。

翌日。

ボウヤがやって来た。

何となくだが、嫌な予感がした。その予感は当たることとなる。

コ「Aさん…。正直に答えてね…。」

会話の雲行きが怪しいのだ。

コナンの眼に“死なないでねって言ったよね”と書いてあるからだ。どこからそんな情報が漏れたのだろうか。

コ「組織に目をつけられたって本当？」

答えるつもりはないし、助けてくれと言うつもりも微塵もない。口を開かないガリアーノにしびれを切らし、コナンが先を続けた。

コ「安室さんが…言われたんだって…。ガリアーノの情報を集めろって……。抹殺するために必要だから…。ＮＯＣでないなら、やって見せろってね…。」

組織が総動員しても見つけられないものを警察の一個人が回収できるわけがない。

バーボンに下されたのは、実質陥れるためのものを寄越せということだろう。でも、それをコナンへと伝えたということは、彼もわかっているようだ。

「彼も共に抹殺したい…。それが組織の意思か…。」

ＮＯＣを根絶やしに。疑いは晴れても、猜疑心までは拭いきれない。ジンが、一度疑った人間をそう易々と見逃すとは思えない。

コ「ボクが…Aさんのためにできることってない？」

眼を見て話す彼は、真剣だ。

「ない。……そろそろこうなるとは、思ってたから…。」

コ「何で！？…ボクと赤井さんじゃ…役不足だから？」

即答すればそう返ってくる。隣でそれまで黙っていた彼もが、口を開いた。

秀「あいつらに殺されたいのか？」

コナンのように言葉を包むことなく確信をつくその声は、どちらかというと怒りを含んでいた。

「そうね…。死ぬのなら…あなたの手でが、良い…。」

そう易々とあの幹部たちにガリアーノが殺られるわけがないのだ。彼女を疎ましがっているのは、ジンとラム、そしてあの方だけなのだから。