検索窓
今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:111,436 hit

第80話 ページ31

それは、本当か?

そう問いただしたくなった。それを抑えられた自分を誉めてやりたいくらいには。

コ「安室さんとしては…彼女の口から自分の正体が知られることを畏れてるんだって。……赤井、お前のためじゃないってさ。」

彼からの情報だ。その真偽は、本物で間違いないだろう。

だとしたら、だ。

彼女は、あの身体であの組織の魔の手から逃れることができるのだろうか。難しいのではないかと思う。

秀「彼に伝えておいてくれ…。その情報だけで十分だ…。ありがとう、とな…。」

彼がどんな意図でそのことをコナンに伝えたとしても、赤井にとってそれがどれ程重要かということは変わらない。

それだけあれば、守る手段はいくらでもある。

コナンもいれば、その策は両の手で余るほどできるだろう。

コ「うん…わかった…。」

それを伝えたところで安室はきっとぶちギレるだけだろう。でも、それが赤井の本心だとわかる。

コ「ところで…Aさんは?」

来てるんでしょ?と続けたこの少年は、どこをどう見てそう判断したのだろうか。

コ「赤井さん見てればわかるよ。」

秀「そうか?」

さも当たり前のようにいう少年。

コ「うん。」

ここまで言い切るのだ。そうなのだろうと無理矢理納得させた。あまり認めたくないのだが。

秀「休ませている…ここのところ無理をしすぎたからな…。」

ポツリとこぼした。

コ「そうだよね…。Aさん交えて話したかったんだけど…。また、来るね。今日は、もう帰るよ。」

無理。

赤井はその一言にまとめた。語りきれないこともあるだろうに。彼らは、子供のコナンに多くを話してはくれない。

もどかしくて精一杯背伸びをするけど、全く歯がたたなくて。

秀「あぁ。目が覚めたら、ボウヤを呼ぼう。」

彼が、自分を必要としてくれることが、少しだけ嬉しかった。

コ「じゃあね、また!」

部屋をでて、この家の外へと出て行く音を聞きつつ彼女のところへ向かう。

どこか荒い呼吸をしていた。

必死に逃げているような、怯えたようなそんな呼吸を。この間の夜もこんな風にうなされていた。

起きろと揺すれば、虚ろな瞳によぎる暗い色。

何とも表現しづらいその色は、刹那的で呆気なくすぐに消えた。

「秀…一…?」

そのあとには、眠そうな答えが返ってくるのみだった。

第81話→←第79話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (198 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
254人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かなと(プロフ) - 気になる終わり方でしたが、ありがとうございました(泣) (2016年6月4日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
ラスティ - 更新待ってます (2016年6月2日 22時) (レス) id: 35a99e4b3a (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 更新頑張ってください!!応援してますから!! (2016年5月28日 20時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 死にたいとか云わないでー!! (2016年5月22日 14時) (レス) id: 181887ceab (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - ラスティさん» ラスティってお酒の名前ですよね!! (2016年5月21日 22時) (レス) id: 181887ceab (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:黒闇 | 作成日時:2016年4月9日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。