第80話 ページ31
それは、本当か?
そう問いただしたくなった。それを抑えられた自分を誉めてやりたいくらいには。
コ「安室さんとしては…彼女の口から自分の正体が知られることを畏れてるんだって。……赤井、お前のためじゃないってさ。」
彼からの情報だ。その真偽は、本物で間違いないだろう。
だとしたら、だ。
彼女は、あの身体であの組織の魔の手から逃れることができるのだろうか。難しいのではないかと思う。
秀「彼に伝えておいてくれ…。その情報だけで十分だ…。ありがとう、とな…。」
彼がどんな意図でそのことをコナンに伝えたとしても、赤井にとってそれがどれ程重要かということは変わらない。
それだけあれば、守る手段はいくらでもある。
コナンもいれば、その策は両の手で余るほどできるだろう。
コ「うん…わかった…。」
それを伝えたところで安室はきっとぶちギレるだけだろう。でも、それが赤井の本心だとわかる。
コ「ところで…Aさんは?」
来てるんでしょ?と続けたこの少年は、どこをどう見てそう判断したのだろうか。
コ「赤井さん見てればわかるよ。」
秀「そうか?」
さも当たり前のようにいう少年。
コ「うん。」
ここまで言い切るのだ。そうなのだろうと無理矢理納得させた。あまり認めたくないのだが。
秀「休ませている…ここのところ無理をしすぎたからな…。」
ポツリとこぼした。
コ「そうだよね…。Aさん交えて話したかったんだけど…。また、来るね。今日は、もう帰るよ。」
無理。
赤井はその一言にまとめた。語りきれないこともあるだろうに。彼らは、子供のコナンに多くを話してはくれない。
もどかしくて精一杯背伸びをするけど、全く歯がたたなくて。
秀「あぁ。目が覚めたら、ボウヤを呼ぼう。」
彼が、自分を必要としてくれることが、少しだけ嬉しかった。
コ「じゃあね、また!」
部屋をでて、この家の外へと出て行く音を聞きつつ彼女のところへ向かう。
どこか荒い呼吸をしていた。
必死に逃げているような、怯えたようなそんな呼吸を。この間の夜もこんな風にうなされていた。
起きろと揺すれば、虚ろな瞳によぎる暗い色。
何とも表現しづらいその色は、刹那的で呆気なくすぐに消えた。
「秀…一…?」
そのあとには、眠そうな答えが返ってくるのみだった。
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かなと(プロフ) - 気になる終わり方でしたが、ありがとうございました(泣) (2016年6月4日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
ラスティ - 更新待ってます (2016年6月2日 22時) (レス) id: 35a99e4b3a (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 更新頑張ってください!!応援してますから!! (2016年5月28日 20時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 死にたいとか云わないでー!! (2016年5月22日 14時) (レス) id: 181887ceab (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - ラスティさん» ラスティってお酒の名前ですよね!! (2016年5月21日 22時) (レス) id: 181887ceab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒闇 | 作成日時:2016年4月9日 23時