静寂 second【名探偵コナン】 (ページ12)

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第６１話ページ12

べ「これから彼女の監視に行くけど…。あなたも来る？」

そう聞けば、ゆっくりと首をふった。

「遠慮しとく…。一人で動くわ…。」

まだ少し具合の悪そうなガリアーノを一人にするのは、心もとないがいたしかたあるまい。この状況では、一人でも多く人手が欲しいのだから。

「何しても…文句はなし…。」

同意を求める彼女に頷く。できることなら、危険なことはさせたくない。エンジェル以上に大切なのだ。

べ「わかったわ…。」

ふと沸き上がった予感に一瞬呼吸を止めたが、あり得ないと己に言い聞かせた。

彼女の綺麗な翠の瞳が、自分を見つめている。落ち着けと言わんばかりに。

そうだ。あり得ないことを考えたって仕方がない。

どれほど彼女の瞳に映る感情で落ち着くことができたか。このままでは、取り乱していたかもしれない。

「で、ここはどこなの？」

全く見覚えのない景色にかなり戸惑っていた。

べ「東都水族館の救護室よ…。キュラソーもまだここに居るはずよ。」

見つけてから幾ばくの時間も過ぎていないから、すぐに何処か行ってしまうということは、ないと思われる。

「そう…。」

これだけの会話でいったいどこまで予測できているのか、ベルモットにはわからない。組織には、幾つもの先を見て先手を打つような人間ばかりだが、彼女は群を抜く。

あのジンでさえ、舌を巻くような相手だ。

じゃあ、と一言告げると彼女は消えた。

遠くに置いておくのは、不安で少しでもと思い何とか園内に連れ込んだと云うのに。彼女は、何一つ気にしていなかったようだ。

べ「少しは…気にしなさいよ…。」

他人から貰い受ける負の感情以外の受けとり方を知らないのかと錯覚させるほどだ。

あの無表情に何度脅えたことか。

あの言葉に何度苛立ちを覚えたことか。

あの行動に何度振り回されたことか。

それでも彼女なりの好意の示し方を感じたときは、嬉しかった。それなりの感情が有って、人らしいところもあるのだと、知ったときの感動は、忘れないだろう。

べ「あぁ…こんなことをしている暇は、無かったわ…。」

思い出に浸りそうになっていた思考を現実へと向けた。