sky104 "イーグル" ページ9
noside
「……そうですか、ありがとうございます。
あ、楓にも連絡してもらえますか……すみません。
久遠さん、Aをよろしくお願いしますね」
電話を切った女……雪本夏蓮は、寂しげに空を仰いだ。
……Aが倒れ、記憶を失った日。
ライオコット島にいた夏蓮にも、その事実は伝えられた。
「……始まってしまう」
夏蓮は片腕を握りしめ、呟いた。
ｰｰｰ
時を同じくして……。
「……雪本A。いや……"スワロウ"。
お前は……私の道具でしかないんだ」
ある一室にて、不敵な笑みを浮かべる男がいた。
「……"ガルシルド"様。スワロウは失敗作ではなかったのですか？
……私の方が、アイツより何倍も強いのでしょう？」
そこにもう一人、女がいた。
黒髪を腰まで伸ばし、サイドテールにした。
……それ以外は、"雪本A"と瓜二つの女が。
「ふっ……そうだな。
……スワロウは、失敗作だ。失敗作は生きる意味などない。
期待しているぞ。"イーグル"」
「はい……!!」
今、何かが動き出そうとしていた。
部屋を出た……イーグルと呼ばれた女は、ふと呟く。
「これで良いんだよね、スワロウ。
……私は、強くなったんだよね……」
イーグルの呟き。
「……絶対に、勝ち進んでよね。
そうじゃないと、私……こんな事をした意味、なくなるんだから」
『ねぇ、イーグル!!
私とイーグル、最強だよねっ!!』
『スワロウ……そうだね、私たちはきっと無敵だよ‼
いつか、世界一になりたいね！』
『やだなぁ、なりたいじゃなくてなるんだよ‼』
「ずるいよ、スワロウだけ。
……スワロウは仲間が出来たみたいだけど、私はひとりぼっちだよ」
『……スワロウ、行かないでよ……』
『イーグル……あのね、いつか助けに来るから‼
だから……元気でね!!絶対に、会えるから……!!』
過去の記憶が、イーグルの頭を駆け巡る。
片手を頭に当て、あざ笑うかのように口角をあげた。
「……負けないから」
その声は、やはりAとそっくりだった。
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作者名：ナツ | 作成日時：2018年8月4日 19時
