sky111 ページ16
Aside
……そして。
「……イタリア戦か」
イタリア戦当日……イナズマジャパンの、決勝トーナメント出場のかかった試合の日だ。
「Aおはよう‼……大丈夫??」
食堂に入ると、秋ちゃんが私の所に駆け寄ってきた。
……ここのところ、あまり皆と一緒に居なかったから……。
大丈夫、と口に出そうとして。
『Aちゃんの大丈夫は、いつも大丈夫じゃないんだよ』
士郎君の言葉が、脳裏に浮かぶ。
どうしようかと思っていると、頭に衝撃が走った。
「いっつ……!!」
「ほらA、早く飯食うぞ。今日はトマト食ってもらうからな」
顔を上げると、そこには不動君と飛鷹君がいた。
飛鷹君は苦笑いしつつ、
「はよ、雪本」
と挨拶をしてくれる。
不動君に引っ張られる形で席につく。
既に綱海さんは食べ始めていた。
「お、おはよー雪本!!調子はいいか？」
「え、あ……うん」
頷くと、良かったと綱海さんは笑う。
……いつも通りで、少し安心した。
ｰｰｰ
スタジアムにて。
「皆、準備は良いか！」
円堂君の言葉に、皆が頷く。
「ここまで来たらあとはやるだけだ‼俺たちの全てをぶつければ、必ず勝てる‼」
フィールドに、皆は向かう。
私はベンチでそれを見ていた。
MFで出る栗太君は、すごいやる気だった。
「……」
イナズマジャパンのキックオフで、試合開始だ。
染岡君がボールを持って上がっていると、オルフェウスのキャプテン……フィディオが
「カテナチオカウンターだ！」
と叫ぶ。
それに驚き足を止めてしまった染岡君、ボールはオルフェウスに渡った。
「カテナチオカウンター……？」
見た感じただのチャージだ……特別なものとは思えない。
いや……というより。
「フィディオの指示を、聞いていない……??」
「そうだろうな……」
私の呟きに不動君が答える。
それから、FWの皆は完全にマークされてしまった。
前線の皆にパスが回ってもカットされ、またボールを奪う……それの繰り返し。
MFの佐久間君にボールが回る。
すると……
「佐久間君!!」
DFだった士郎君が、前線に上がった。
そして士郎君にパスが回る。
「カテナチオカウンターだ!!」
フィディオの声にも士郎君は足を止めずに……
「行くよ、栗太君!!」
「……あぁ、そういうことかっ!!」
マークが外れた栗太君と共に、ゴールに向かった。
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作者名：ナツ | 作成日時：2018年8月4日 19時
