2年 ページ12
「ミルクと砂糖は?」
「いえ。」
「南野くんは大人だね、どうぞ。」
子供扱いするようなAの言葉。
普通なら腹の一つでもたてるところなんだらうが…蔵馬は少し安心した。
蔵馬としての一面を見せてなお、自分を南野として認識しているAに2年前と変わらない姿を見て、なんとなく安心したのだ。
私は熱いのも苦いのもダメだから、と言いながらカフェオレを飲むA。
Aが嚥下したタイミングを見計らって南野は声を掛けた。
「何故、僕をここに連れてきたんですか?」
「それが気になるのは南野くんとして?それとも、蔵馬として?」
「…両方、かな。」
上品に両の膝を揃えて座るAはもう一度カップに口を付ける。
「答える気はない、ということですか。」
「急がないで。」
長い睫毛がAの瞳に影を落とす。
思わず見とれてしまった蔵馬の意識を引き戻すようにAがカップを置く小さな音が響いた。
「南野くんは、この家を見てどう思った?」
「どう、って…」
「…一人で帰るには、広過ぎると思わない?」
蔵馬では、きっと理解出来なかったであろう感情。
しかし、南野には理解出来た。
「…そうですね。」
「蔵馬くんに説明出来る理由は持ってないけど…見てくれる?私の2年間。」
Aはそう言って立ち上がると、南野を自らの部屋へと招き入れた。
…そこには、たくさんの本があった。
「家事くらいしかやることが無くて、ね。」
その言葉は最早、蛇足だった。
「あなたは2年間…ずっと、ここにいたんですか。」
左京は、Aが外に出ることを許さなかった。
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もこ(プロフ) - チカラさん» ありがとうございます!続編予定がなかったので終わりがまだ決まっていないのですが、頑張ります! (2019年5月26日 23時) (レス) id: fb2eac157c (このIDを非表示/違反報告)
チカラ(プロフ) - 続きがもの凄く気になります頑張って下さい (2019年5月25日 22時) (レス) id: 1203d0d1e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もこ | 作成日時:2019年5月25日 22時