検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:8,117 hit

2年 ページ12

「ミルクと砂糖は?」

「いえ。」

「南野くんは大人だね、どうぞ。」

子供扱いするようなAの言葉。
普通なら腹の一つでもたてるところなんだらうが…蔵馬は少し安心した。
蔵馬としての一面を見せてなお、自分を南野として認識しているAに2年前と変わらない姿を見て、なんとなく安心したのだ。

私は熱いのも苦いのもダメだから、と言いながらカフェオレを飲むA。
Aが嚥下したタイミングを見計らって南野は声を掛けた。

「何故、僕をここに連れてきたんですか?」

「それが気になるのは南野くんとして?それとも、蔵馬として?」

「…両方、かな。」

上品に両の膝を揃えて座るAはもう一度カップに口を付ける。

「答える気はない、ということですか。」

「急がないで。」

長い睫毛がAの瞳に影を落とす。
思わず見とれてしまった蔵馬の意識を引き戻すようにAがカップを置く小さな音が響いた。

「南野くんは、この家を見てどう思った?」

「どう、って…」

「…一人で帰るには、広過ぎると思わない?」

蔵馬では、きっと理解出来なかったであろう感情。
しかし、南野には理解出来た。

「…そうですね。」

「蔵馬くんに説明出来る理由は持ってないけど…見てくれる?私の2年間。」

Aはそう言って立ち上がると、南野を自らの部屋へと招き入れた。
…そこには、たくさんの本があった。

「家事くらいしかやることが無くて、ね。」

その言葉は最早、蛇足だった。

「あなたは2年間…ずっと、ここにいたんですか。」

左京は、Aが外に出ることを許さなかった。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←生活



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
33人がお気に入り
設定タグ:幽遊白書 , 蔵馬 , 仙水
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もこ(プロフ) - チカラさん» ありがとうございます!続編予定がなかったので終わりがまだ決まっていないのですが、頑張ります! (2019年5月26日 23時) (レス) id: fb2eac157c (このIDを非表示/違反報告)
チカラ(プロフ) - 続きがもの凄く気になります頑張って下さい (2019年5月25日 22時) (レス) id: 1203d0d1e4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もこ | 作成日時:2019年5月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。