戸愚呂 ページ9
ただいま戻りました、そう言って扉を開けたAは真正面にあるリビングルーム(ホテルでもこの言い方であってるんですかね？)の扉から戸愚呂(弟)が出て来たことに気が付いた。
リビングルームと玄関のちょうど真ん中、向かって右側にあるドアを開けばAの使っている寝室がある。
あまり対面していては霊力を使ったことがバレるかもしれない。
それを避けたかったAは自らの寝室に戻ろうと歩みを早めたが…体格の差故かようやっとドアノブに手が掛かるだろうというタイミングで戸愚呂(弟)に腕を引かれた。
｢…霊力、使いましたね。｣
｢ば、バレましたか…？｣
｢それだけ不自然な行動をされちゃぁ…ねぇ。｣
どうせ浦飯チームの誰かにでも使ったんだろう…とため息をついた戸愚呂(弟)にAは左京にはどうか内緒にして欲しい、と手を合わせて拝むように言った。
｢バレるのが嫌なら初めからやらなければ良いものを…｣
そのまま2人、戸愚呂(弟)に腕をひかれるようにAは部屋へと入った。
｢どのくらい使ったんです？｣
｢そんなには…｣
Aには妖怪と近い距離にいたためか霊力がある。
特に戸愚呂兄弟や鴉などと出会ってからは近くに居るだけでもちりちりとした妖力を感じていまうため知らないうちにそれは鍛えられていた。
｢嘘では無いようですね。｣
しかし、Aは実際量が多いにも関わらずあまり使うことがないせいか…加減を誤り必要以上に霊力を浪費してしまうことがあるのだ。
そのせいで倒れたこともあって、Aの腕には霊力の残量に合わせて変化する呪い(まじない)の彫りが施されていた。
｢…9つくらいなら、まぁ良いでしょう。｣
｢ありがとうございます。｣
その呪いはA自身、あるいは霊力を持たない人間には視認することが出来ない。
左京曰く、オオツルボという地中海沿岸を原産地とした多年草が彫り込まれているらしい。
オオツルボ、学名からシラー・ペルビアナと呼ばれることが多く、見た目は少し紫陽花に似ている。
普段は数十個の蕾が描かれていて、霊力を使った分だけその花を咲かせるのだとか。
｢しばらくは部屋でゆっくりしていて下さい。｣
｢はい。｣
……戸愚呂(弟)が出て行った部屋で、Aは見えないオオツルボを睨むように見詰める。
そして、唇を震わせながら小さく言葉を紡いだ。
｢私は、哀れなんかじゃない…｣
(部屋の内装は浦飯チームの部屋を思い出しつつそれを豪華にした感じでいいかな…と雑に思ってます。メインルームの他にサブでもう1つ寝室があって主人公さんはそっちを使ってる感じで。)
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もこ(プロフ) - シンアさん» ありがとうございます！更新、遅くなってすみません…… (2019年5月26日 23時) (
レス) id: fb2eac157c (このIDを非表示/違反報告)
シンア - 続き気になります(*⌒▽⌒*)更新楽しみにしてます(*⌒▽⌒*) (2019年5月17日 13時) (レス) id: f6e4c29514 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこ | 作成日時：2019年4月18日 1時
