それを夢にはしたくない【REBORN】 (ページ3)

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貝ページ3

｢…ボンゴレファミリーから会食のお誘いなんて、ね。｣

側近からボンゴレの紋章のついた手紙を受け取って小さく呟いたのはニッビョファミリーの創設者にして現ボスの十道Aである。
日本人らしい名前には似合わず彫りの深い顔に薄らと笑みを浮かべている彼女は酷く妖艶だ。

｢Va bene.OKと伝えておいて。｣

｢…罠かと思いますが、よろしいのですか。｣

側近の言葉にAは前髪をかきあげながら答える。

｢もちろん、罠なら返り討ちにしてあげる。｣

手を離すと同時にさらりと落ちた前髪の間から覗く緋色の瞳に、側近はぞくりと鳥肌が立つのを感じた。
側近は元々ボンゴレの傘下だったファミリーで三下として燻っていた男であった。
そして今ボスであるAもまた、同じファミリーに属していた。
その頃から側近はAの僅かな間のみ垣間見得るこの狂気に心酔していた。
その美しく、純粋な狂気に。

｢かしこまりました。｣

では失礼します、と側近が部屋から出るのを見送るとAは声を上げて笑いながらボンゴレからの手紙を破いた。

｢やっと、やっとだね、母さん、父さん。｣

破いた紙片を舞い上がらせるようにAはくるくると回る。
紙片は床につく前に赤い炎によって焼き尽くされ、灰になった。

白と赤の中で舞うAの姿は、まさしく狂気だった。