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【NORMAL】
銀時は身の上話を話し始めた。
露骨に嫌そうな顔をして銀時に背を向ける紅薔薇太夫だが、話を中断させることは無かった。
背を向けながらもその耳をしっかりと立てている。
「────で、俺がその万事屋銀ちゃんの社長ってわけ。どーよ?すごくね?」
「3ヶ月分の家賃を未納していて仕事が無い期間が長らく続いていたそうですね」
「なんで知ってんだよ」
紅薔薇太夫には全て筒抜けだったようだ。
恐らく日輪や月詠あたりが教えたに違いない。
銀時は酒を飲みながら言った。
「ま、ようするに俺は無害だ。お前を指名する客ん中で一番まともだろ?」
「何をもってまともというのでしょうか」
「確かに。ここに来てる時点でまともではねぇな」
吉原の男を潤すは女か酒。
多くがその二つを求めてこの桃源郷にやって来るのだ。
酒を飲み感覚を緩ませ、現実から目を背ける。
そしてそれを癒すのが遊女の役目だ。
「お前って地上へ出たことほとんどねぇよな?」
「そうですね」
「ここの女もすごいが地上の女はもっとやべぇぞ。特にキャバ嬢なんかはゲスくて金巻き上げてそのくせ中身はゴリラだ」
すると紅薔薇太夫はあくびをした。
全くもって興味がないらしい。
────というよりも、まるで嘘つきと言いたげな表情だった。
半信半疑でもあり、疑心暗鬼でもあるのだろう。
どちらにせよ、紅薔薇太夫は地上の話をするといつもより不機嫌になるのは確かだ。
「時間です。出て行って下さい」
紅薔薇太夫は時計を見て立ち上がった。
きっかり30分だけの二人の時間。
時間が来ると紅薔薇太夫は一寸とも耳を傾けてくれない。
今日の収穫はあまりなかったがこれ以上共にいることは無理だと銀時は判断した。
また明日、話の続きをすればいい。
「ありがとな。んじゃ帰るわ」
銀時は静かに部屋から去った。
部屋には紅薔薇太夫とかんざしが残されていた。
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八重菊(プロフ) - コメントをさせていただきます。もうホンマに、マジで泣きました。ここまで泣いた作品は初めてです.........!素晴らしい作品をありがとうございます! (2020年8月15日 1時) (レス) id: 4b3ed537f2 (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - ものすごく心に残るお話でした。来世で必ず一人の女の子として、銀さんと幸せになってほしいと思いました。 (2020年4月25日 16時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 45話読んだときは、「紅薔薇太夫!何で!?」って思った。でもその後の話を見てたら、何だか腑に落ちた。幸せなまま…… すごくいいお話でした。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 泣いた。いやめっちゃ泣いた。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - ハニーさん» コメントありがとうございます。愛着湧いてしまった夢主ちゃんだったからこそ、早く解放してやらなきゃな…という使命感に駆られてこうなりました笑 (2018年12月10日 3時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2018年10月27日 14時