後輩注意報発令しました。【月島蛍】

注意報8 ページ9

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『……いちごオレ〜。』




自販機の前、私は陽気にそう呟きながら
お金を入れて、赤く光るボタンに手を伸ばす。


そして、そのボタンが押されると

ガコンッという音と共に、お目当てであるピンクのパックが落ちてきた。




『ん〜、おいしい。』




この甘っとろさがたまらない。


私がストローでオレを吸い上げると、甘いいちごと牛乳の香りが鼻に抜けた。


今頃、友達は購買という名の人波にのまれていることだろう。

その間、私はここでいちごオレを堪能する。


あぁ、なんて素晴らしい時間だろうか。


そんな風に思いながら、自販機の前でいちごオレを飲んでいると、




『……うおっ、』




いきなり、右肩の辺りに大きな衝撃が走った。

それと同時に聞こえたのは、




「あ、すみません。小さすぎて見えませんでした。」



『……お前、わざとだな。』




あのひねくれ小僧の気だるげな声。


小さすぎてって、お前がデカすぎるんだよデカ島。


くそ……約30cmという身長差は、どうやったってくつがえせない。


私はいちごオレの最後の一口を飲み込みながら、

心の中でため息を吐いた。




『て言うか、何でいるの。』



「え、居ちゃダメですか。飲み物買いに来ただけなんですけど。」



『………どうぞ、買ってください。』



「どうも。」




本当に、この子は何故ここまで愛嬌というものが無いのだろう。


私は先輩だぞ、一応。マネージャーだけど。


他の先輩には、素っ気ないけどなんか後輩感だして接してるのにさ。


なんで？なんで私にはこんなに懐かないの。


あ、そうか。バカで面白いからか。


言ってたな、昨日。


そしてコイツ、やっぱりとことん失礼な奴だ。





『私の背がもっと高かったら、その高い所にあるアナタの頭を殴ってやれるんだけどね。』



「じゃあ、ぐんぐんヨーグルトでも飲んだらどうですか？まぁ、もう伸びないでしょうけど。」



『ムカつく！て言うか、さらっとカフェオレとかカッコイイの飲んでんじゃねーよ。』





隣で涼しげな顔をしながら、買ったカフェオレを飲む月島。


あれは苦くて飲めた試しが無い。

て言うか、コーヒーなんて飲み物じゃないだろう。




「もしかして先輩、コーヒー飲めないんですか？」



『っ……ま、まだ大人じゃないから飲まなくていいでしょ。』



「いや、高校生で飲めないって……笑」



『う、うるさい！！』






帰ったら絶対ブラックコーヒー飲んでやる。







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