後輩注意報発令しました。【月島蛍】

注意報2 ページ3

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「おーし、休憩だー！」





汗だくになった部員達を眺めながら、私は思う。


あぁ、きた。


休憩という名の、魔の時間が。




「……Aちゃん、私がタオル配るから、ドリンク渡してくれる？」



『えっ……あ、はい。了解です。』




こんな時でもやはり微笑む潔子さんは美しい。


私は潔子さんに言われた通り、カゴの中からスポーツドリンクを手に取り

汗を拭う部員達に渡していく。





「A〜、俺にもくれ！」



『はいはいどうぞ。龍、今日は何時になく汗だくだね。』



「今日は調子が良いんだ！」





そう言って決めポーズをとる龍こと、田中龍之介。


いつも通り、元気なこと。


龍と話しながらも他の部員にドリンクを渡す。


そしてまぁ、普通に考えてアイツの番も来るわけで。





「喋ってないでドリンクくれませんか？」





案の定、隣からあの気力の無い声が聞こえる。

振り向いて少し見上げたところにある顔は、

なんだかいつにも増して不機嫌そうだ。





『あぁ、ごめんね。ハイ、どーぞ。』



「………どーも。」





私はそんな月島に、片手でドリンクを渡す。

龍の方を見れば、もうノヤとはしゃぎまくっている。





『……今日はいつになくご機嫌ななめ？』



「……なんでそうなるんですか？」



『え、疑問形に疑問形で返さないでよ。』



「じゃあそうさせることを言わないでくれますか。」





顔をしかめて、月島はドリンクを飲む。


……不機嫌でも喉は乾くのか。





「……なんですか。」



『ん〜？いや、別に。』



「先輩ってムカつかせるの得意ですよね。」



『なにかな、突然。喧嘩売ってんの？』





顔を上げて月島を見れば、真顔でこちらを見下ろしてくる。


ムカつかせるのが得意なのはどっちだ。


仏頂面の背高のっぽ野郎。




「ふっ……」



『……なに。』




ふと、月島が笑う。


目を細めて、口角を上げながら。


そして言った。





「いや、小さいなって。」



『え、しばかれたい？』






……生意気も大概にして欲しい。









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