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8. ページ10

sideYou








普段は人気もなく、静かなこの教室。


日は当たらず、ひんやりとしている。


そこに彼が顔を出す様になったのは、いつからだっただろうか。



いつもポーカーフェイスで、笑っているところすらあまり見せない彼だけど、






「……先生って、年下は許容範囲内なんですか?」




『……え?』






……今日は、何かが違う。


無表情なのは変わりないが、滅多でもないことを聞いてくる。


年下は許容範囲内、それってつまり……





『……年下が、恋愛対象に入るかってこと?』




「……まぁ、そうですね。」




『どうしたの、突然。』




「いや……友達が聞いてこいってうるさくて。」






そう言った彼を見れば、面倒くさそうに顔をゆがませている。


赤葦くんはいい子だ。口では文句ぐらい言うんだろうけど、結局そうやって頼みを受け入れちゃうほどに。


私のことをお人好しだとか言う前に、あなたの方が充分にお人好しだと私は思う。






「……A先生?」




『えっ……あ、あぁ。ごめん、ちょっと考えごと。』






私が使っていない机の上に軽く腰かけながら、こちらをのぞいてくる彼に少し驚く。


そんな私を見て彼はほんのちょっぴり、口角をあげて笑った。






『……今、笑ったわね。』




「すみません、先生の驚いた顔が面白かったので。」






そう言ってまた、くすりと笑う赤葦くん。


これはかなりレアだなんて、私が思っていることをきっと彼は知らないだろう。


高校2年生なんて、私はまだまだ子供だった。


彼は、今の私よりも大人びているように見えるけど


こういうところは、まだ子供の可愛さがある気がする。






「……で、質問の答えは?」




『そうだ、忘れてた。』






年下は恋愛対象になるのか。



その質問の答えならもう決まっている。



私の答えは、NOだ。







『……年下は、ナシかなぁ。』







だから私は、笑いながら彼にそう告げた。




何も考えず、本心を言っただけ。




どうせ、さっきみたいに笑うものだと思ってたのに




私が彼を見た時の表情は、



思い描いたものとも、いつもの無表情とも違うものとも違う。



私が今まで見たことがない表情だった。




ねぇ、なぜ……?




なぜあなたは、そんなに悲しそうな顔をしているの。








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設定タグ:ハイキュー , 赤葦京治 , 流南涙   
作品ジャンル:恋愛
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流南涙(プロフ) - ハクさん» そう言ってもらえて嬉しいかぎりです!わざわざコメントまでありがとうございます! (2019年3月28日 18時) (レス) id: 922addf14e (このIDを非表示/違反報告)
ハク - 赤葦の新たな一面が見れた気がします! 面白かったです! (2019年3月28日 16時) (レス) id: ce8572a894 (このIDを非表示/違反報告)
流南涙(プロフ) - 崔さん» 最高だなんて……ありがとうございます!更新頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年3月27日 22時) (レス) id: 922addf14e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 最高です…。これからも応援してます。 (2019年3月27日 21時) (レス) id: a6c3821a9f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流南涙 | 作者ホームページ:流南涙  
作成日時:2019年3月27日 18時

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