こういうのが読みたい4 (ページ7)

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無題4 # ページ7

『何が見える？』

「これは？」

眼前に広がるのは、白。白に近い肌色。それだけのヒントじゃ答えられないでいると、ゆらゆらと揺れるのが5本。

「…ふっかの手。なにも、ない？」

「せーかい」

頭をわしゃわしゃと撫でられる。気分はまるで、溺愛されているペットの様。

「もう1回、」

はい、と見せられたのは同じく白い肌色。さっきと違うのは、中央に紫の色が加わったこと。

「…触るのは？」

「いいよ、」

そっと触れた紫の塊。クシャリとプラスチックの質感で、何かを包み込むようだった。

「…お菓子、かなぁ」

あまり大きくない、このサイズだし。
飴玉とかなら包めそう。

「なんのお菓子だと思う？ヒントはね、照の好きなやつだよ」

好きなやつと言ったら、ひとつだけ。

「チョコレート」

「せーかい」

この前家に来た時、舘さんにチョコレートを貰ったんだと、ふっかは俺をダイニングテーブルに連れていった。

「9種類の味でね、さっき見せた紫がラム酒、赤がラズベリー、ピンクがいちご、緑が抹茶、オレンジはオレンジ、黒がビターで、白はホワイトチョコ、黄色がバナナで、青は青いチョコレートだって」

青いチョコなんて初めて見た！と、ふっかの声は弾んで嬉しそう。

「何味がいい？」

「…紫がなんだっけ」

「ラム酒。お酒入ってるみたい」

「じゃあそれは、夜にしよう」

目が合った、黄色の包装に手を伸ばした。光を受けてきらきらと、金色に光っていたから。

「やっぱり、黄色か」

「…なんで？」

「髪ゴムも黄色だからさ。好きなのかなって」

そんなたわいもない話のそばを、開いた窓から5月の風が吹き抜けていった。