こういうのが読みたい4 (ページ6)

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無題3 # ページ6

『仲間』

「白杖嫌だ。涼太、肩貸して」

わがままは相変わらず、はいはい、とそれに付き合う舘さんの声が、うちの玄関に響いた。

友達が遊びに来る間隔が、とても短くなった。皆に、照のことを公言した訳では無い。雰囲気というか、会わないといけない、そんな予感がしたと、この前来た阿部が言っていた。

こんにちは、と2人が入ってくる。椅子を勧めようとしたら、照のところに行きたい、と翔太が言った。

照は、今日はソファーに座らず、ソファーを背もたれにして床に座り込んでいた。こっちの方が落ち着くのだという。

「照？」

翔太の手が照に伸びる。こわごわと照の手がそれを受け取って、自分の頬にあてた。翔太の視界は照より白んでいる。白んでいるという程度ではなく、真っ白に近いのだろうと思う。

「友達から、仲間になったな」

先輩と呼んでくれてもいいぞ、と、翔太はおどけて見せた。

「…先輩だって」

あ、笑った、と手が当たる頬が動いたのか、翔太はそう言って、彼も嬉しそうだった。

2人のやり取りを複雑な表情で見ている自分がいた。かしゃんかしゃんと白杖を折り畳みながら、舘さんは、

「いいじゃない、お互いに心強くて。羨ましいくらいだよね」

と、優しい眼差しで眺めていた。

あの朝から、前に進めていなかった。いや、照もなのかもしれない。でも、自分よりは少し前を歩けていると思う。支えたいと思うのに、彼の背中を追えないでいる。

「焦ることないよ、2人とも。ちゃんとペースが掴めてくるから」

お土産ね、と舘さんは、紙袋を渡しながらそういった。