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この夜の星だけが、僕らの話を知っている * ページ33

深澤side

寝れないものが集まる深夜の窓辺。今日のお客は一人だけ。長い手足を投げ出して、後ろ手をつきぼんやりと、紺の空に煌めく星を眺めている。

隣でいつの間にか脱色された髪が揺れていた。金というより、シルバーとか白に近い。

君によく似合っていた。

君のためだけにある髪色。そんな気さえした。

ラウ「ねぇ、ふっかさん。」

「ん?」

君の視線は、空から離れず。

ラウ「そっちに行きたいって言ったら、怒る?」

その口は、もう何度目かの同じ質問をした。

いつもの違うのは、問う声が疲れていたこと。重たくて小さくて、二人の間にぼとりと落ちたこと。

限界が、君の心を染めて、体の中を満たしきって、君の声に出てきた。もう、見ないフリを
も、それとなく話を逸らすことも出来なかった。

真剣に、それと向き合わないといけなかった。



「限界なんだろ。」

ラウ「うん、」

分かっていた。いつかこうなるって。

君と話すうちに、生きづらさを感じていることも、寿命まで生きるということは選ばないことも。

全部みえてしまっていた。

君は隠していなかった。
それが自分だ、というように。

「…少しは怒るかな、」

少しだけ。理由はうまく言えないけども、近い言葉にするなら、君に生きて欲しかったから、なんだと思う。

ラウ「そっか、」

「でも、お疲れ様って言うと思う。」

よく頑張りました、って。

「無理はするな、でも、…後悔はすんなよ。」

1回だけの人生だ。後悔だけはして欲しくないから、よく考えてほしい。

その後、フラフラと翔太がやって来て、この話は終わりになった。寝れないの?と翔太に問う声は、いつもの君に戻っている。



君と窓辺で会ったのはこれが最後で、次にあったのは向こうの世界。

変わらない白い髪。
こちらに来れば、もうずっと君のもの。

晴れたその顔も、
やっと見せてくれた笑顔も、全部綺麗だ。

やっぱり君に、似合っている。

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作者名:ハルタ | 作成日時:2021年8月16日 12時

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