鉢植え 3 (ページ21)

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8月の真ん中、真上に登った太陽が容赦なく照りつけて、久しぶりに履いたスーツのズボンが張り付く。

せっかくだから美味しいものでもと、右手に持った白い紙袋。持ち直せば、かさりと揺れる。

(ラウが帰ってきた。)

めめから久しぶりに連絡があった。

昨日の夜、ふと見た携帯に彼の名前の横に、
それだけが1文。

彼のことだからあの海に迎えに行ったのだろう。俺は1度も行けていない。体が、近づくことを拒んでいるから。

ラウールにとっては、今回が新盆。

短いのか長いのか分からなかった。
ただ数字は、300日以上進んでいた。

インターホンを鳴らして中から開けられたドアの先、開けてくれたふっかさんの背中に、彼はぴたりとくっついていた。

小さな子供が見たことない大人を怖がる時みたいに、恥ずかしい時みたいに、ぴたりとくっついていた。

深「どんな顔してあったらいいか、わかんないみたいで。」

背中の彼に手をまわし、玄関先でふっかさんはいった。はみ出た頭が、気まずそうにこちらを伺う。

「ラウール、一つだけ。怒ってないよ。…お疲れ様。」

そう言えば、そっと背中から外れて、俺とふっかさんの間に出てきてくれた。

「美味しいものでも食べようや、な？」

ラウ「…うん。」

紙袋を受け取ってくれた手は、とても白い。

この世のものでない。
それをちゃんと見せつけてくる。