検索窓
今日:29 hit、昨日:22 hit、合計:64,968 hit

6 ページ7

寝室の少し大きなベッドの上。
木製の救急箱と、消毒液の匂い。

向かい合って座れば、さっきと同じように両手を優しく取られる。

佐「こんなに怪我するなんて、珍しいね。」

痛そう、あぁこれも痛そうと、手の甲と掌をコロコロとひっくり返して、傷を見るたびに彼の顔は歪む。

佐「消毒液するからね?染みるよ。」

「…うん。」

ぷしゅっと消毒液を掛けられれば、ピリッとじんわりと痛くて。

佐「ごめんね、痛いよね、すぐ終わらせるから。」

顔に出ていたのか、少し焦ったようにそう言った。



佐「仕事で、なんかあったの?」

彼が救急箱を片付けている間、ベットの上で自分の手を眺めていた。彼によって貼られた絆創膏の、少し斜めなところとか傷からずれてるところとか、不器用な部分が垣間見えて、それが愛しかった。

温もりが欲しかった。

先程と同じようにベットに座る、彼に手を伸ばす。そして、腕の中に引っ張りこんだ。

佐「わ、」

手荒な真似だとは思っている。でも今は、彼が生きてることも、自分が生きてることも確かめたかった。脳裏にはずっと、薄青の病院着のふっかがちらついている。

「今日、ふっかが来てくれたんだ。」

え、ふっかに会ったの?と胸元から曇った声がする。

「久しぶりに会った。全然変わってなかった。」

なのに何で、そんなに悲しそうなの。

胸元の声は、核心をついてくる。久しぶりに友人と再会したなら、それは喜ばしい嬉しい出来事ではないか、と。

「…病院着を着てたんだ。近くに、大きな大学病院があるじゃない。そこに…入院してるんだってさ。」

ひゅっと息を呑む音がした。くりくりの大きな目は、これでもかと言うくらい見開かれて、こちらを見ている。その顔を横目に、俺は彼の肩に頭を埋めた。

「…ねぇ、ふっか、治るよね?」

ぎゅっと抱きしめられる力が強くなるだけで、彼からの答えは返ってこなかった。

7→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (90 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
241人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 病系
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ハルタ | 作成日時:2021年7月2日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。