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深「花の配達サービスやってんの?」

壁に貼られたお知らせの紙を指さして、ふっかは言った。

「やってるよ。結構好評なんだ。ほら、鉢植えとか、重たいものもあるしね。」

小分けにされた花だけじゃなくて、鉢植えも扱うこの店では、普通の花屋よりもいろんな人が買いに来るこの店では、開店当初から行っているサービスだ。現に、大学病院の病室へのお届けも何度かやっている。

深「これは、どこにでも運んでくれる?」

「そうだよ。エリアは特に限定してない。」

深「じゃあ、俺もお願いしようかな。」

「OK。どこに運びますか?」

深「□□大学病院。西棟の12階、1209まで。」

その答えにメモをしていた手をピタリと止めれば、目の前で彼は、少し悲しそうに微笑むのだった。



分かってはいたが、一番避けたかった現実を、彼は難なく言って退ける。

深「驚かせた?」

「…まあ、来た時からその服で分かってた。そこの病院の人もたまに来てくれるから、覚えたし。」

病院着を指せば、そうだよなと、ふっかは服をつまむ。

深「まあ、来てっていうのもおかしいけど、今度、病室来てよ。しばらく、そこにいることになったし。照も阿部の顔見たいと思うし。」

しばらく、そこにいることになった、
その言葉が引っかかった。

でも、なんでもないと言うようにふっかはそれについて、深くは言わなかった。こちらとしても聞けるものではないので、触れないでおいた。

「え、照いるの?」

うまく驚いた顔が、つくれていただろうか?

深「うん、たまに来てくれる。」

ぎこちない顔に、なっていないだろうか。

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作者名:ハルタ | 作成日時:2021年7月2日 13時

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