鉢植え 2 (ページ36)

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照side

今日は採血とMRIをとってきてください、それが終わり次第帰って構いません。その言葉を佐久間に伝えようと、忘れないように頭の中で何度も反芻(はんすう)させて、ありがとうございましたと、診察室を出た。

佐「どうだった？」

「あー、えっと、採血とMRI撮ったら帰っていいって。」

佐「MRI？」

「なんか、機械の中に入るらしい。」

付き添いを佐久間にお願いしたのは、コロコロ変わるその表情を見てれば、ちょっとは気が紛れるような気がしたから。現に採血に向かう今も緊張はしているものの、帰り出したくなるほどではなかった。

人間見たくないほど見てしまうと言うのは、こういうことか。

腕に針が刺される鈍い痛みのあと、赤黒い液体がどんどん容器に溜まっていく。一杯になったら、次の容器へ交換。看護師さんたちの無駄のない手つきが、この白すぎる空間と消毒の香りが、とても無機質なものに見えていた。

結局、7本取られた。容器7個分。

こんなに血を取って何がわかるのかと、言いたいところだが、これで何でもありませんでした。健康でした。と、いう結果が出るなら安いほうだと思う。

MIRの方は、大変だった。

元々磁気を使うため大きな音がなりますよと、検査前に言われていたのだがいざ始まってみると、渡されたヘッドホンはもはや飾りでしかなく、様々な不協和音がパターンを変えて襲ってくる。これを15分程度。

げっそりして検査室から出てきた俺の姿を見て、佐久間はワタワタ慌てるのだった。それをぼーっと眺めていれば、ふふと笑が零れる。

彼についてきてもらって、良かった。と、検査室の前の長椅子に沈みながら、そんなことを考えている。