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佐久間side
結局、うちでは検査ができないのでここに行ってくれの言葉と、紹介状のセットは総合病院でも行われ、その次の病院でも行われ、最終的にたどり着いた大学病院は、幸か不幸かふっかと同じところだった。
昨日の夜、誰が付き添いで行くかと話をしていたところ、照直々にご指名を頂いて、今日来たという訳。
初めて踏み入れた検査棟。
各階の色んなところに色んな科が並び、診察室は20を超える。それが廊下一面にズラっと横並びにあるものだから、規模の大きさが分かるだろう。
白が基調の院内には大きなガラス窓が一面に貼られていて、清潔感を醸し出すが、反射した光が目に痛い。
隣に座る照の顔は真っ青で、俯いて唇を噛み締めている。やっぱりここに来ることは抵抗があるようで、受付時間のギリギリまで阿部ちゃんのお店にお邪魔して、帰りも寄ってねと言われていた。
前回は見舞い客として、今回は患者として。
彼が旅に出てから1年も経っていないのに、体調も立場も全て変わってしまった。
岩本さん、診察室20番にどうぞ。と、天井のスピーカーから声がした。
照は、少しだけ肩をはね上げて、ゆっくりと立ち上がると廊下の真ん中でこちらを一瞥(いちべつ)する。
「大丈夫、待っているから。頑張ってきて。」
そう言えば少し息を吐いて、診察室のドアの向こう側に消えていった。
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作者名:ハルタ | 作成日時:2021年7月2日 13時