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目黒side
14時に**総合病院に来て欲しい。と、ラウールから連絡があったのはついさっき。
あいつ、今日病院の日だったっけ?と、携帯と財布だけもって自転車を走らせる。すっかり包み込む風は暑くなって、日差しも白くて、海の青が綺麗な季節になった。
学校側の都合で今日は一日休校だった。
やることもないから、まあいいか。
家にはいたくないし。
指定された病院のエントランスに、ラウールと照くんの姿があった。
「え?照くん?」
照「目黒、悪いな。」
と、しゃがれた声で言った。
顔色はよくないように見えた。
踏み入れた院内は冷房が効いていて、火照った体にはちょうど良かった。初診の手続きをしてくるから待っていてと、ラウールは受付カウンターに向かっていった。
近くの長椅子に二人で腰を下ろす。ラウールが来るまで、先程までの経緯を教えてくれた。いくつか検査値が引っ掛かって、詳しく調べるためにここに来たと。
ラウ「お待たせ。◇科だって。2階の左端?だったかな。」
貰ってきた院内の案内図を持ったラウールを先頭に、エスカレーターに乗り込む。
後ろから見た照くんの背中は、丸まって痩せたなと思う。出会った頃は、もっと背筋が真っ直ぐでたまに笑顔を見せてくれたのに、そういえば最近見ていない。
照くんが呼ばれるのにそんなに時間はかからなくて、いくつか検査をした後、今日は帰っていいということになった。結果は後日、教えてもらえるらしい。
すっかり日差しは傾いて、水色の空にオレンジが混じるようになった頃、俺らは揃って病院を後にした。
照「今日は、ありがとな。」
いえいえと、二人で首を振る。そして、呼んでいた黒いタクシーに乗り込んだ。
ラウ「…何事も無いといいけどね。」
「な。」
照くんを乗せたタクシーが俺らの横をすり抜けていったあと、隣でラウールがそう零す。
タクシーは、左ウィンカーを出して街中に消えていった。
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作者名:ハルタ | 作成日時:2021年7月2日 13時