06首領の思惑と彼女の狙い(其の三) ページ6
其れにしても、マフィアに襲撃したことがあるだと。
一寸待て。此処で話に割り込んだ。
「なら手前、太宰知ってるンじゃねェか。奴と俺の名を知らない裏社会の人間はいない筈だ。しかも、ポートマフィアを襲った事がある奴なら尚更。」
「貴方たちは双黒、でしょう。知っているわ。名前も持っている異能も知っている。けれど、会った事も見た事も無かったの。」
会いたくて態々条件を呑んだのに、もう居ないのでしょう彼。
溜め息を溢しながらだるそうに彼女は云う。
コイツの目的は太宰だったのか。
「あと一週間程早く赴いてくれたら居たのだけど、残念だったねぇ。」
「はぁ、取引に乗らなければ良かった。」
微笑む首領に落胆の表情を浮かべるA。
「けれど乗らざるを得ない、だろう。」と首領は云った。
「…さすが組織の長ですね。けど、契約は1年。」
「あぁ、勿論だとも。取引を違える事はしないよ。君が違えなければ、だけどね。」
「…違える気があるならとっくに記憶を消してる。それにしても、貴方こそ組織の利益を優先して破りそう。」
首領もAと呼ばれた女も不敵な笑みをこぼす。
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作者名:雪渓 | 作成日時:2018年9月16日 19時