[文スト]嫌いな奴に似た女 (ページ5)

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05首領の思惑と彼女の狙い(其のニ) ページ5

上に立つには人を見極めなければいけない。

それを学ばせたいという思いから、と俺は判断した。

｢はっ。｣とだけ答えた。

｢うん。良い報告を期待しているよ。｣

満足そうに首領は頷いた。

｢では、次の議題に移ろうか。A君、君の異能を云い給え。｣

Aと呼ばれた女は不思議そうに首を傾ける。

｢予想はついているのでは。｣

｢確認は大事だよ。確認して失敗したことはない。逆は多いけれど。｣

さぁ、云いなさい。と静かに、しかし逆らえぬ圧をかける首領。

｢…ワタシの異能力は、或る一定の範囲にいる人対象の、ワタシ自身に関する記憶を全て消す異能。それだけです。｣

一つ溜め息をついてからそう云った。

｢矢張ね。いつの間にかに近付かれ、いつの間にかに命を散らした人達を沢山知っているよ。」

そしてその現場に居合わせた人は口を揃えて云うんだ。

記憶に無い、とね。

｢勿論、私の組織も痛手を喰らったよ。」と首をすくめ乍云う首領。

二人の間で何か取引があるのは確かだ。しかし口を出すことはしなかった。

この世界では場を弁えない奴から退場していく。

必要になった時伝えられるだろう。

もしくは、自分で探るか。