おまけーあの後ー ページ36
「なっ、なんでデコにキスすんだよ!!」
そう云いながら俺は帽子を取り返す。
「記憶を返すために相手に触れないといけないのよ。」
しれっとしているA。
「普通に、手を握るとかで良いじゃねェか!」
「えぇ?詰まらない。」
「なんでだ!!」
この女は…!!!
すると彼女は悪い笑みを浮かべる。
「真逆、額のキス如きで照れてるの?」
「はァ!?ンな訳あるか!!」
そう云ってAの頭をはたいた。
「つか!そんなことを軽々しくすンな!!」
そう云うとAは一瞬固まり、そして笑いだした。
「本当に、中也さんって…ふふ、あははっ。」
「おいA…、何笑ってやがンだ。…本当イカれてやがんな手前。」
様々な感情を通り越して、だんだん疲れてきた。
帽子を一度眺めてから被ろうとした時、彼女は漸く笑いを抑えて、話始める。
「ふふふ、いえ、ご心配ありがとう。けれど、ワタシもちゃんと考えてる。額のキスは幸せのお裾分け。」
こんなに嬉しい事、初めてなの。
どう表現すれば良いか解らない。
と云うAは困り顔で、しかし微笑んでいた。
「…これから学べよ。」
俺もつられて微笑んだ。
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作者名:雪渓 | 作成日時:2018年9月16日 19時