20交差する思惑 ページ20
中也君とA君が任務に赴いてから数日が経ち、漸く私の元へ報告書が上がってきた。
その報告書を持ってきた人物は。
「おや、A君がその報告書を持ってきてくれるとは。」
私は彼女にゆっくりと微笑む。
「首領。貴方に頼みたいことがあり、馳せ参じました。」
報告書を机に置いてから、そう云うA。
「うんうん、此方に一切の被害もなく、海外組織の異能者を生捕りにまでしてくれた功労者だ。叶えられることなら何でも叶えてあげるよ。」
私がそう云うと、少し間を開けて、此方を真摯に見つめ口を開くA。
「…では、ワタシを中原中也さんの配下にしてほしいのです。」
「其れは、どうしてかね?」
「気になる事ができました。其れに、彼はダザイという男の相棒だったのでしょう。近くにいれば知れることが多いかと思いまして。」
彼女が中也君の事を気にするのは予測がついていた。
「成程。してあげたいのは山々だけど、それは中也君に一任しているから難しいねぇ。」
勿論私の権限で其れは可能だが、許可しない。
その代わりに、こう口にする。
「ところで、最近聴いた噂話に付き合ってくれるかね。或る幹部は、未だ水面下で前首領を支持していてね。其の事を私を支持している者が知り、その幹部を排除しようと考えているらしい。」
嗚呼そうだ、因みに次に幹部になるのは中也君だろうねぇ。
彼は組織に多大なる貢献をしているのだから。
この話をA君は静かに聞く。
「其れは…大変物騒ですね。」
と微笑み乍彼女は云った。
私も微笑んだ。
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作者名:雪渓 | 作成日時:2018年9月16日 19時