13任務内容 ページ13
任務は、先日掃討した敵対組織の残党の始末。
残党共は海外組織の力を借りて報復を企てているとのことで、早急に対処すべき案件だ。
それにここで残党を仕留めれば、手を貸そうとしている海外組織もポートマフィアに畏れを抱くだろう。
「今回は敵は少ない。其れに、手前の異能も有るから奴らが潜む建物内部に侵入するのは、俺とAの二人だ。部下には外を固めてもらう。」
「…海外組織はまだヨコハマに来てないと?」
「あぁ。来ていたら、此方の情報網に掛かるからな。」
「…へぇ、そう。」と云い乍、何か考えているようだ。
何か引っ掛かるが、今は隅に置いておく。
「アイツらが潜む建物は、或る山中の、富豪が所持していた別荘。今は棄てられて管理も行き届いてない廃屋だがな。なんか質問は。」
「一つだけ。」
そう云い乍、人差し指をたてる。
「ん。」
さっきの煙草を吸い終わった為、捨てて新しい煙草に火をつける。
「異能は使った方が良いのかしら?」
「別に…使うほどの相手じゃ無ければ使わなくても良い。」
「分かった。」とだけ答えてまた空を見はじめた。
ふと思い出したかのように「そうそう」と云う。
「今度はなンだ。」と煙を吐きながら返す。
「ワタシの異能は範囲があるの。半径2米に入らないでね。」
「…それって解除出来ねぇのか。」
「出来るけどしなくても良いのよ。所詮忘れられる様な記憶なのワタシなんて。」
その言葉は何処か悲哀に満ちていた。
「何てね。本当は、死ぬ人に有っても無くても関係ない。まさか、さっきの信じた?」
と直ぐスクスクと笑いながら上書きされた。
しかし、どうにもその前に言われた言葉の悲哀な響きが忘れられない。
だが、深くは追及せず、「ったく、手前ェは…。」とだけこぼした。
煙草の煙が風に乗り、暗くなる空に消えていく。
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作者名:雪渓 | 作成日時:2018年9月16日 19時