54 ページ7
.
「‥‥セラが作る音楽も自分の奥の部分を出してるって感じで好きだよ？
本来なら人間が出したくない情けない部分だったり怒りだったりを敢えて曝け出して曲作りしてるでしょ？違う？」
いきなり真剣な目になったヒョンに少し怖くなって急いで目を逸らす。僕の姉のように全てを見透かしてるみたいな、そんな雰囲気を感じてムキになる。
『‥‥ちょっと違う気がします、、
僕は“敢えて”曝け出して無いですよ。そういう曲作りしかした事ないだけです。他の方法が分からないから‥‥
しかも僕みたいに人によっては不快に感じる曲作りって案外楽なんです。隠す部分がないし何より気を遣わなくて済むから。その分人間性に期待もされないし。まあ厄介な人間だって周りから距離を置かれたりはしますけど。でもそれでいいんです。
ヒョンの様にいい部分だけを出して弱い部分は見せないっていう方が大変だと思います』
「はは、まあ僕はアイドルだからね。‥‥僕だけの問題じゃないし、」
『やろうと思ってもできない人が殆どですよ。でもヒョンもヒョンのメンバーもそれができてる。大人なんです。自分が我慢することによって他の人が幸せになればそれで満足って思えるって。当たり前じゃないですよ。努力がないとできないことです。でも僕は我慢なんてできない。言われたら言い返したいし、自分の弱いところは曲にして認められたい。それでもって僕と僕の身近な人が幸せじゃないと嫌なんです。そんなの難しいに決まってるのに、そうありたい。我儘なんです』
あれ、なんで自分で言って、こんなに悲しいんだろう。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 411人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遊 | 作成日時：2022年10月19日 21時
